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データ駆動型の意思決定を後押しするBIツールとは?基本的な機能と発展的な活用方法を解説!

データ分析

はじめに

BI(Business Intelligence)ツールは、企業が蓄積する大量のデータを集約し、迅速かつ簡易に可視化・分析する機能を提供することで、データに基づいた意思決定を支援するソフトウェアです。

企業は、ビジネス環境の激しい変化に迅速かつ的確に対応するために、データに基づく意思決定・価値創出がより一層求められる時代にあります。一方で、国内企業におけるデータ活用は米国と比較すると低調であることが指摘されています(総務省:令和5年「情報通信に関する現状報告」)。

BIツールは、社内外に点在するデータを一元管理し、迅速かつ簡易にデータを可視化・分析する機能を提供することにより、企業の意思決定の迅速化・分析レポート作成の効率化・全社的な情報共有と活用推進に貢献する有益な手段となります。しかし、企業がビジネス課題に対してより価値の高い知見をデータから抽出し活用するには、現行のBIツールだけでは対応しきれないケースがあります。

本記事では、BIツールの基本的な機能と利用シーン、さらに、BIツールをより有効に活用する方法について紹介します。

BIツールの基本的な機能

多くのBIツールには、①ダッシュボード・レポートの作成、②探索型の分析を実行する基本的な機能が備わっています。 いずれの機能もほとんどの場合、ローコード又はノーコードで実行できるため、専門的な知識がなくても容易にデータを可視化し、分析することができます。

BIツールの機能

① ダッシュボード・レポートの作成

ダッシュボードは、KPIなどの重要な指標をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定を行うためのツールです。社内でダッシュボード上の同一のデータを共有できるため、情報共有の推進に役立てることもできます。

また、BIツールを用いてダッシュボード上の集計結果やグラフをレポートとして出力することができます。定期的に実施するような調査・分析の結果をレポート化する場合は、レポート用に集計・可視化の項目を設定したひな形を構築しておくことで、調査の都度、一からデータを集計・可視化するための作業を行う必要がなくなり、業務負担を軽減することができます。

【活用例】 教育ダッシュボードの活用

つくば市では、年々増加する15歳未満の児童生徒に対し、限られた教職員できめ細かな教育を提供する必要がありました。つくば市は、児童生徒一人につき一台の端末を提供し、教職員がダッシュボードを用いて生徒の体調、その日の気分、授業満足度などを把握することで、生徒一人一人の状況に応じた教育を提供しています。また、教職員だけでなく、生徒自身もダッシュボードから成績や学習ログ等を確認し、日々の学習に活用しています。
つくば市における教育ダッシュボードの活用_Microsoft

② 探索型の分析

BIツールでは、KPIなどの重要な指標に寄与する要因を探索したり、データから未知の傾向や知見を発見したりすることで、ビジネスにおける施策の立案に有用な情報を得る事ができます。例えば、売上が増加した要因を探るために、地域別の売上を表示したり、性別や年齢区分別の売上を表示したりすることで、売上に影響を与える要因を探索することができます。さらに、BIツールに備わった機械学習モデルを構築する機能を利用することで、事前の仮説なしにビジネス上重要な指標に関連する要因を探索することもできます。

【活用例】クラスター分析によるゲームユーザーの離脱要因の探索

ゲームのユーザーが離脱する要因をBIツールで探索した事例が報告されています。この事例では、BIツールのクラスター分析の機能を用いて離脱の要因を探索し、施策の立案に活用しています。
ゲームユーザーの離脱要因の探索_(SEGA)×Qlik

代表的なBIツールの紹介

以下に代表的なBIツールをご紹介します。

Tableau

Tableauは、直観的な操作で多彩なグラフやチャートを用いてデータを可視化・分析することができるBIツールです。Tableau社は、直観的なインターフェースでスキルセットに依存せず、誰でも迅速に強力な分析を実現する環境を提供すると謳っています。また、Tableauは様々なデータソースと連携が可能で、100万人以上が参加するコミュニティーがあり情報共有が盛んに行われています。基本的なデータ分析に加え、Tableauワークフロー内の Einstein Discoveryを利用し、ノーコードで機械学習モデルを構築し、予測結果を可視化することが可能です。

Qlik Sence (Qlik Cloud Analytics)

Qlik Senceは、データ分析の経験がないユーザーでも容易にデータの可視化・分析が可能なBIツールです。 insight generationと呼ばれる機能を用いると、自動で探索的な分析が行われ、ビジネス課題に対する洞察を得ることができます。また、Qlik AutoMLを利用することで、ノーコードで各種の機械学習モデルを構築し、誰でも容易に高度な分析が可能です。

Looker Studio

Looker Studioは、GCP (Google Cloud Platform) 上で動作する無料で利用可能なBIツールです。Looker Studioでは、ビジネス要件に合わせてダッシュボードを柔軟にカスタマイズし、効果的にデータを可視化することができます。また、直観的な操作でドリルダウンによる分析が可能です。作成した分析レポートのリンクを共有することで、迅速に分析結果を社内に展開できます。また、1,000種類以上のアプリケーション・データセットにアクセスすることができる特徴があります。一方、似た名前のサービスでLookerがあり、こちらはGCP上で提供されるデータアプリケーションプラットフォームです。

Power BI

Power BIは、Microsoft製品で直観的なインターフェースでデータの可視化・分析が可能なBIツールです。Excel、SharePoint等の複数のMicrosoftアプリケーションと連携してデータを分析・可視化できる特徴があります。また、Power BIはExcelユーザーに慣れ親しんだインターフェースを提供しているため、教育コストを抑えることができます。さらに、Power BI ワークフロー内でAutoML(Azure Machine LearningのAutoMLを統合した機能)を利用することで、ノーコードで機械学習モデルの構築と予測結果の可視化が可能です。

Amazon QuickSight

Amazon QuickSightは、インタラクティブなダッシュボード、自然言語クエリ、埋め込み分析を通して、さまざまな分析ニーズに対応できるクラウド型のBIサービスです。Paginated Reportsと呼ばれる機能で、ページ単位で作成したダッシュボードやレポートを即時に共有することができます。また、ML Insightsを利用することで、異常検知や各種予測タスクを実行するモデルを構築することができます。さらに、ダッシュボード内のグラフとテーブルを自動で解釈し、データから得られたインサイトに関する説明文の候補をユーザーに複数提示する機能も利用できます。

BIツールの発展的な活用

今まで見てきたように、各BIツールは様々な機能を有していますが、BIツールをより活用するためには、

  • ・アナリティクスの高度化
  • ・データマネジメントの強化
  • ・生成AI技術の活用

が考えられるでしょう(ただし、BIツールによってはすでに上記の一部に強みを持つツールもあります)。これらを取り込むことにより、意思決定の高度化・価値創出に繋げることができるでしょう。

アナリティクスの高度化

現在ご利用のBIツールは、高度な機械学習モデルをノーコードで構築・活用できる機能を有している一方、利用できる機械学習アルゴリズムの種類が限られているため、分析課題に対応しきれないケースもあるかと思います。このようなケースでは、外部環境で分析課題に応じた機械学習モデルを構築し、その予測結果をBIツールで可視化することが有効でしょう。しかし、BIツールの外部で機械学習モデルを構築するには、専門的な知識が必要となります。

TDSEでは、あらゆる機械学習アルゴリズムの中からビジネス課題に応じたより最適なアルゴリズムを選択・構築するご支援が可能です。さらに、お客様と協議しながらソリューションを一から設計・構築することもできます。ビジネス課題に応じた高度な機械学習モデルを構築し、BIツールで可視化することで、意思決定の改善が期待できます。

データマネジメントの強化

加えて、BIツールを効率的に導入・活用するためには、適切なデータマネジメント(必要なデータをいつでも適切な状態で参照・活用できるようにするための取り組み)も不可欠です。

▶【関連記事】データ利活用の要、「データマネジメント」とは?構成要素や取り組みロードマップを解説!

例えば、データレイクハウスを導入することで、音声や画像、テキスト等の非構造化データを管理・活用する環境を整備できます。これにより多様なデータを意思決定や価値創出に活用することができるでしょう。近年、BIツールベンダー各社でもデータマネジメント機能の強化が進んでいますが、TDSEでも様々な企業様のデータマネジメントをご支援してきました。

データレイクハウスの導入や活用についてもご支援させていただきますので、是非お気軽にお問合せ下さい。

生成AI技術の活用

近年、大規模言語モデル(LLM)を活用し、BIツールにおけるデータの可視化・分析をより簡単に実行可能にする生成AI機能がBIツールベンダー各社で盛んに開発されています。以下にデータの可視化・分析をアシストする生成AI機能についてご紹介します。

① 自然言語によるデータの可視化・分析

ユーザーが可視化・分析に関する質問を自然言語によるテキストで入力すると、分析結果を説明するテキストやグラフ・チャートが返される機能が開発されています。例えば、「2023年第4四半期で最も売上の高い商品は何ですか?」、「製品カテゴリ間で売上に季節的なパターンはありますか?」などの質問をすると、自動で分析が実行され、結果を得ることができます。この機能により、ユーザーは自身で分析のための煩雑な操作を実行することなく、分析結果を会話形式で得ることができます。また、データから知見を得るために必要な質問が自動で生成される機能も存在し、分析に関する専門知識がない人でも探索的な分析を実行することができます。

② 分析結果に関する説明の生成

この機能は、分析結果を説明する文章を生成することができます。例えば、月次売上のグラフがある場合、「売上は1月から5月にかけて着実に増加し、6月にはわずかに減少し、7月に急増しました。」といったテキストによる説明を生成する機能です。このような文章の生成機能により、ユーザーが分析結果を解釈することをサポートします。

③ 自然言語でのクエリ生成

複雑な集計を設計し実行する場合には、複雑な計算構文を必要とするケースがあります。ユーザーがテキストで集計内容を入力すると、自動で複雑なSQL構文が生成される機能があります。例えば、住所から市町村名を抽出したり、KPIの指標を得るために複数の指標を組み合わせたりする上で、AIのガイダンスを受けながら適切な計算構文を作成することができます。

まとめ

ここまで、BIツールの基本的な機能から、発展的な活用方法まで見てきました。しかしながら、BIを効果的に活用するための方法はビジネス課題によって異なります。TDSEでは、ビジネス課題から紐解き、BIツールのダッシュボード構築から予測アルゴリズムの構築までお客様の抱える課題に応じた最適なソリューションを提供します。是非お気軽にご相談をお寄せください!

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