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リスキリングとは?実施するメリットと押さえるべきポイントを紹介

データ分析

近年は「リスキリング」という人材育成方法が注目を集めています。

リスキリングを実施することで、現場の業務を効率化しながらDX(デジタル技術を利用してビジネスモデルを変革すること)を推進できる可能性が高いです。

今回はリスキリングのメリット・デメリットや、社内で実施するときに押さえるべきポイントを説明します。

リスキリングとは?

リスキリング(Reskilling)とは「今後新しく発生する業務に役立つスキルを習得するために、従業員に勉強してもらう取り組み」のことです。

ここで言うスキルは下記のように、「デジタル化に伴って生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大きく変わる職業につくためのスキル」を指します。

  • ・ソフトウェア、アプリ開発、データサイエンスなどのIT関連
  • ・AI、機械学習
  • ・情報セキュリティ

近年は先端技術の活用によりデジタル化・自動化が加速しており、これまで人が取り組んでいた事務作業や肉体労働を、ロボットなどに任せる場面も増えてきました。

しかし、ロボット化により従業員の肉体労働がなくなっても、「ロボットの管理システムの構築」や「ロボット自体の管理」などの仕事が出てきます。従業員が高度な技術を保有していない場合、すぐに遂行することは困難です。

従業員がリスキリングを行うことで、時代に合わせたスキルを習得でき、企業のDXを推進できる可能性が高まります。

リスキリングが注目されている理由

近年リスキリングが注目されるようになったのは、2020年のダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で「リスキリング革命」が発表されたためです。

リスキリング革命とは「第四次産業革命によって変化する技術に対応できる人材を育成するため、2030年までに10億人に教育・スキル・仕事を提供する」というものです。

また、日本でも経済産業省が「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を設立しました。AI・IoT・データサイエンス・クラウドなど、これからの時代に欠かせない新しいスキル獲得を支援する制度です。

このように国内外問わず、DX化を推進できるような人材を育成する「リスキリング」が重視されています。

日本の人材投資の現状に対するリスキリングの必要性

そもそも現在の日本では、OJT以外の人材投資が諸外国と比べて最も低く、かつ低下傾向にあります。

出典:経済産業省

また、リカレント教育(※)などの教育制度があっても「本業に支障をきたす」「教育内容が実践的ではないので、現在の業務に活かせない」といった理由で、従業員の就学を認めていない企業も多いです。

(※)リカレント教育:社会人になってから教育機関に入学し、学び直すこと。リスキリングは「仕事と並行して」学ぶのに対して、リカレント教育は「仕事を一時中断して」学ぶことを指す。

出典:経済産業省

以上のような理由により、リカレント教育とは違い、現在の仕事を続けながら事業に貢献できるスキルを身につけられる「リスキリング」が重要になっています。

では、リスキリングに取り組むことでどのようなメリットを得られるのでしょうか。続けて説明しますので、ぜひご覧ください。

リスキリングを実施する3つのメリット

リスキリングを実施するメリットには、次の3つが挙げられます。

 

  1. スキルの習得により、新しいアイデアの創出や業務効率化が期待できる
  2. 新規採用のコストを抑えつつ、業務にスキルや知識を活かせる
  3. キャリア形成を支援することで、従業員の愛着心を高めやすい

順番に見ていきましょう。

メリット1.スキルの習得により、新しいアイデアの創出や業務効率化が期待できる

企業がリスキリングを推進することで、従業員が新しいスキルを習得しようとする風土が生まれます。その結果、サービスの開発時に学んだ知見を反映しやすくなるなど、社内に良い変化がもたらされる可能性が高いです。

また、新たなスキルを駆使することで、次のような業務効率化に取り組めます。

  • ・ルーティンワークを自動化し、工数を削減する
  • ・必要なデータを収集・分析し、取るべきアクションを予測する

情報収集や検討などにかかっていた時間が短縮されれば、他の重要な業務に費やせる時間が増え、生産性アップが期待できます。

メリット2.新規採用のコストを抑えつつ、業務にスキルを活かせる

2つ目のメリットは、新規採用のコストを抑えながら業務にスキルを活かせることです。

もし同じようなスキルを持った外部の人材を新規採用する場合、採用コストがかかる上、事業や社内での進め方などに慣れるまで育てる必要があります。

従業員なら既存の環境を踏まえた上で、新しいビジネスに取り掛かれるため、スキルをスムーズに活かすことが可能です。

メリット3.キャリア形成を支援することで、従業員の愛着心を高めやすい

リスキリングによって従業員が学ぶ機会を得ることで、「どのようなスキルや経験を積んでいきたいか」が明確になるので、キャリア形成を考えやすくなります。

会社がより良いキャリア形成を支援できれば、従業員のエンゲージメント(会社への愛着心)が高まり、人材流出を防げる可能性が高いです。

ただし、従業員が新しいキャリアを見出すことで転職する恐れもあります。これを防ぐためには、人事制度や評価を見直して「従業員のモチベーションを維持し続ける工夫」が欠かせません。

弊社TDSEでもDX人材を育成するサービスを提供していますが、「一度の受講で終わらせず、サポート制度などを設立してフォローアップし続けている企業」のほうが、リスキリングを継続できている傾向にあります。

そのため、経営陣が率先して従業員をサポートする制度を考案し、浸透させていくようにしましょう。具体的な制度の例は後述しますので、ぜひ続けてご覧ください。

リスキリングを実施する2つのデメリット

リスキリングを実施することで、下記のようなデメリットが生じる恐れもあります。

 

  1. 人材の流出につながるリスクがある
  2. スキルの習得までに時間やコストがかかる

あらかじめデメリットを知っておくことで、対策方法を検討できます。早速見ていきましょう。

デメリット1.人材の流出につながるリスクがある

1つ目のデメリットは、従業員が他社へ流出してしまうリスクがあることです。

新たなスキルを習得することで、新しいアイデアや価値を生み出せるようになります。その結果、業務効率化や新製品の開発などを通じて事業に貢献することが可能です。

その反面、従業員がより自分のスキルを活かせる職場や、条件の良い企業に転職する恐れがあります。

「メリット3.キャリア形成を支援することで、従業員の愛着心を高めやすい」でも説明したように、ただリスキリングを実施するだけではなく、待遇の改善など社内で活躍してもらうための環境を整えることが大切です。

デメリット2.スキルの習得までに時間やコストがかかる

従業員がスキルを習得するまでに、ある程度の時間やコストがかかることもデメリットです。例えば、下記を行うための時間やコストが挙げられます。

  • ・対象の従業員の選定
  • ・必要なスキルの洗い出し
  • ・研修、資格取得、書籍購入などの費用

また、一度の研修や講座などで学んでも思うような効果は得られないため、従業員が継続的に学べる体制を作ることが欠かせません。

あらかじめリスキリングを実施するための時間やコストを確保した上で、計画的に進めていくことが大切です。

リスキリングを実施するために重要な4つのポイント

リスキリングを実施する際は、下記4つのポイントを心がけましょう。

 

  1. 現場における悩みや改善点をヒアリングする
  2. 従業員が継続的に取り組める環境を作る
  3. 実際にスキルを活用できる場を提供する
  4. 外部の人材育成サービスを活用する

順番に説明します。

ポイント1.現場における悩みや改善点をヒアリングする

1つ目のポイントは、初めに現場における悩みや改善点をヒアリングすることです。そもそもリスキリングでは、「現場で役立つスキルを習得すること」が欠かせません。

いくら機械学習やデータ分析といった先端技術を学んでも、仕事に活かせない内容では効果は得られず、従業員のモチベーションを下げてしまう要因になります。

そのため、「現状の業務上の改善点」と「改善するために不足しているスキル」を明確にしましょう。下記の流れで進めるのがおすすめです。

 

  1. 業務で困っていることや、改善してほしいことを従業員にヒアリングする
  2. 1でヒアリングした結果から、現状の業務に必要なスキルを明確にする
  3. 従業員が現状保有しているスキルを確認する
  4. 2と3の差を見て、不足しているスキル(学ぶ必要があるスキル)を洗い出す
  5. 不足しているスキルの習得に役立つ講座を選定する(オンライン講座、社会人大学、eラーニングなど)

従業員が今保有しているスキルと、身につけるべきスキルのギャップを把握し、講座の選定に活かしていきましょう。

ポイント2.従業員が継続的に取り組める環境を作る

従業員がリスキリングを継続的に取り組める環境を作ることも、重要なポイントです。

新しい知識やスキルを身につけるのは、従業員にとって負担になります。従業員がストレスを感じて、既存の業務や身体・精神面などに影響が出てしまっては逆効果です。

まずは個人面談を通して、「本人に取り組む意思があるか」や「キャリアビジョン」などをヒアリングしましょう。

その上で経営陣は、下記のような体制を構築し、リスキリングへのモチベーションを維持しやすい環境を作ることが大切です。

  • ・就業時間内に学習できるようにする(休日出勤や残業は避ける)
  • ・インセンティブを設定する(DX認定を取得したら報奨金を出すなど)
  • ・社内広報に載せる(社員がスキルアップしたら広報して表彰するなど)
  • ・DX認定制度を用意し、DX人材に付与する(ゴールド・シルバーなど、段階に応じてランクを変える)

ポイント3.実際にスキルを活用できる場を提供する

3つ目のポイントは、従業員が習得したスキルを活用できる場を提供することです。座学や演習で学んだ内容を現場で実践することで、初めて「業務に役立つスキルを身につけた」といえるからです。

リスキリングを実施した従業員には、できる限り早い段階で下記のような経験を積んでもらいましょう。

  • ・今後想定している事業をトライアルで実践する
  • ・社内副業、社内インターンシップなど、スキルを活かせる別の部署の仕事につかせる

まずは新しいスキルを用いて小さく変革を進めることで、試行錯誤しながらもDXを推進しやすくなります。

ポイント4.外部の人材育成サービスを活用する

自社内で研修や講座などを用意できない場合は、外部人材に講師になってもらうことも重要です。

もし社内で用意した教材や研修の質が低いと、リスキリングの効果も下がってしまいます。デジタル技術に強い企業に依頼することで、スムーズに習得を目指すことが可能です。

例えば弊社TDSEの「DX人材育成サービス」では、現場で使えるレベルのスキルを最短で学べるように、以下のプログラムを提供しています。

 

1.自社に合ったスキル取得計画の策定
お客様と協力して受講者のスキルレベルを確認し、e-ラーニングや個別研修でスキルの習得を目指します。

2.実分析支援
「実際のビジネス上の課題」を例に挙げ、解決するためのデータ分析を協力して実施します。

単に知識を提供するだけではなく、一連のプロジェクトをお客様と一緒に進めつつ実践の場を設けるため、現場で役立つスキルが養えます。

詳しいサービス内容は下記の資料で紹介していますので、ぜひお気軽にダウンロードの上、ご覧ください。

DX人材育成サービス紹介資料をダウンロードする
※無料でダウンロードいただけます

リスキリングで新しいスキルを習得し、社内のDX化を推進しよう

リスキリングを実施することで社内に新しいアイデアが生まれ、業務効率化が期待できるようになります。また、既存の従業員がスキルを習得することで、採用コストを削減しながらDXを推進することが可能です。

まずは従業員の意欲や保有スキル、現場で改善して欲しいことなどをヒアリングした上で、受講する講座を決めていきましょう。

あわせてインセンティブの設定やDX認定制度を設けるなど、従業員のモチベーションアップにつながる体制を構築することも重要です。

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