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Vision2 – 製造業のための画像DX

製造業における画像DXとは

製造業において、様々な現場にカメラを導入し、画像処理技術やデジタル画像の活用を通じて、ビジネスの変革を図る取り組みが注目されています。その取り組みが「画像DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
画像DXが注目を集める理由は、そのビジネスへの影響力にあります。例えば、従来は目視による検査でしかできなかった細かい品質チェックが画像DXの活用によって自動化され、コスト削減や品質の向上が期待できます。また、安全性の確保や生産性の向上など、製造業において多くのメリットがあります。
画像DXは画像処理や、パターン認識を用いて実現されます。

画像DXが注目されている理由

近年、画像DXはますます注目されるようになってきました。
経済産業省による調査報告(ものづくり白書)では、デジタル技術を活用している企業におけるデジタル技術の導入による効果として「生産性の向上」「開発・リードタイムの削減」「作業負担の軽減や作業効率の改善」「在庫管理の効率化」「高品質なモノの製造」などが挙げられています。
製造や開発・設計、生産管理の工程などでデジタル技術を活用している企業の多くが、効率化や簡素化を実現し、製品の品質や生産性の向上に貢献していることがわかります。その中でも画像を用いるソリューションは特に人気があります。
その要因は主に3点あります。

  • ・画像処理技術が向上し実用に耐えるようになったこと。
  • ・機器が気軽に手に入るようになってきたこと。
  • ・画像DXは目に見えるため効果がわかりやすいこと。

これらの要因により従来と比較して取り組み着手のハードルが下がってきている画像DXは、特に注目を集めています。
次の章では、画像DXを活用した代表的な技術の例についてご紹介します。

画像DXにおける技術の例

人口知能技術の進歩により、画像DXはますます注目されており、様々な分野で活用されています。その中核となる技術がコンピュータビジョンです。 コンピュータビジョンは、カメラやセンサーを使用して視覚的な情報を取得し、解釈するための技術です。製造現場での物体検出、位置認識、動き検知、異常検知などに応用され、生産ラインの監視や自動化プロセスの制御に役立ちます。例えば、ロボットアームによる部品のピッキングや搬送、製品の位置や姿勢の検出や製造ラインでの不良品の自動検出などにも活用されます。 このコンピュータビジョンを構成する基礎的な技術としては、「画像処理」と「パターン認識」が挙げられます。

1.画像処理

画像処理技術は、画像を処理し、利用しやすくするための技術です。光学的ノイズの除去、画像の拡大・縮小、エッジ検出などが含まれます。製造業においては、品質管理や異常検知のために使用されています。

2.パターン認識

パターン認識技術は、画像内の特定のパターンやオブジェクトを識別するための技術です。機械学習やディープラーニングのアルゴリズムを使用して、製品の欠陥や異常を自動的に検出したり、製品の分類や識別を行ったりすることが可能です。

これら2つの技術は、画像DXの基礎となる技術です。これらを応用・発展させることで様々な画像DXが実現できますが、いずれにしても上記2つの技術は必須となります。
以上の技術を用いて、品質検査の自動化、品質管理の向上、生産効率の改善などが実現されます。今後、さらなる進化と普及が期待され、画像DX技術を活用する製造業の企業が増えることが予想されます。

画像DXの3大ソリューション

前章では、画像DXにおける技術の例を紹介しました。これらの技術をビジネスに活用するとどのようなことができるのでしょうか。製造業において、画像DXは品質管理や自動化、IoT(モノのインターネット)の活用など幅広い分野で活躍しています。この章では画像DXを活用した主な事例を紹介します。

検査の自動化

画像DXによって、製品の検査や分類、位置認識などのタスクを自動化することが可能です。従来は人手による作業が必要だったこれらの作業をAIが行うことで、作業効率の改善、滞留の解消が期待できます。また、人手による作業では、疲労や注意力の欠如などによってミスが発生する可能性がありますが、これらを自動化することで一貫性と正確性の向上が見込まれます。

製造機器の異常検知

製造ラインの停止は生産において深刻な問題です。センサーデータや画像データに対する解析によって異常な振る舞いや故障の兆候を検知し、メンテナンスを行うことで、機器の故障による製造ラインの停止を予防することができます。これにより、生産計画の遅延や不良品の増加といった問題を回避することができます。

品質要因分析

画像DXでは、製品の設計情報や部品寸法などを特徴量として解析することができます。これにより、製品品質のバラつきを評価し、製造条件の改善に役立てることができます。例えば、製品の寸法が設計仕様と一致しているかどうかを評価し、製造プロセスの調整や部品の改良を行うことで品質を向上させます。

上記は製造業における画像DXにおける代表的なソリューションの一部です。上記のほかにも多くのソリューションが存在します。画像DXは日進月歩ですので今後も常に動向を追っていきましょう。 下記の図は弊社TDSEの製造領域AIソリューションマップです。

Front 研究開発 商品企画 製品設計 受発注 生産管理 生産 流通・販売 保守・
アフターサービス
製品開発 ボイスオブ
カスタマー分析
製造条件最適化 最適在庫水準算出 生産計画自動化 機器異常検知 営業行動最適化 One to One
アフターフォロー
マテリアル
インフォマティクス
マス・カスタマイゼーション 設計図検索支援 需要予測 エネルギー
効率最大化生産計画
機器故障予兆検知 販売数予測 クレーム分類
自動化
特許情報自動検出 製品利用傾向解析 設計図による
費用見積り
異常物流原因分析 施工計画支援 強化学習による
機器自動制御
消耗品交換予測
による物流効率化
問合せ自動応答
設計レコメンド 物流設備
メンテナンス自動化
進捗推定 検査工程自動化 配送経路最適化 非侵入検査
設計図標準化 物流環境影響評価 品質指標策定効率化 要因分析による
歩留り向上
配送タイミング
最適化
遠隔保守
Back 経営/会計 人事/労務 その他
KPI構造最適化 需要予測 ソーシャル
リスニング
人材配置最適化 採用効率化 離職兆候検知 定型業務自動化 防犯AIシステム
ブランド分析 不正会計検知 会計書類自動読取 休職兆候検知 スキルマップ
自動更新
工場案内対話型AI

画像DX導入の難しさ

ここまで画像DXの良い点について触れてきましたが、一方で乗り越えるべきハードルも存在します。最初に直面するハードルは、「デジタル技術導入に関わるノウハウの不足」です。
まず、画像DXを行うには高度な知識と複雑なアルゴリズムの理解が必要になります。画像を適切に解析するためには、特定の特徴やパターンを検出するアルゴリズムや手法を適用する必要があります。そのため、専門的な知識を持った技術者が必要不可欠です。
また、AIの精度は、使用するデータ(画像)の品質に大きく依存します。どんなに優れたコンピュータビジョンの技術者でも、画質や撮影方法等の不備が多いと精度を上げることは難しいでしょう。どんなカメラや撮影方法が良いのかについては1つの絶対的な答えはなく、実現したいソリューションの運用環境や必要精度、解析したい被写体など非常に様々な要因によって変わります。そのような状況において、如何に適切なデータの収集プロセスやデータ品質管理の手法を導入できるかが成功のカギを握っています。
これらの課題を克服するためには、適切な技術やツールの導入、人材の育成やデータ分析能力の向上が必要です。これらを実現するためには、経営者の積極的な取り組みが重要であり、ビジネス戦略の再構築や顧客ニーズの把握などが求められます。

画像DXを始めるためにまず取り組むべきこと

製造業において、画像DXを導入することで品質管理や生産効率の向上、メンテナンス時期の予測などを行うことができます。しかしながら画像DXを始めるためには、多くの企業が直面している課題もあります。その中でも最も重要なのは、分析環境を整えるための準備です。画像DXを始めるにあたって、まずは以下の3つについて取り組む必要があります。

1. 分析基盤を整える

画像DXによるデータ収集や分析を行うためには、データ分析基盤を整備する必要があります。画像DXの活用に必要なデータを収集するためには、適切なデータベースの設計やセンサーの設置が必要です。また、データの収集方法や頻度を計画し、効率的にデータ収集を行う必要があります。さらに、データの管理も重要です。収集したデータを整理・保存し、必要な時にアクセスできるようにする必要があります。データの整合性やセキュリティにも配慮し、適切なデータ管理体制を確立することが重要です。

2.技術者を育成する

画像DXに携わる技術者が不足していることは、DXを取り入れていく上で最も深刻な問題の1つと言えます。従って、専門知識を持つ技術者の育成が欠かせません。そのためには、AIやコンピュータビジョンの知識を有する専門家を採用し、現場でも実践を積むことが必要です。加えて、継続的に最新技術や市場動向について学び、技術者のスキルアップを繰り返すことが重要です。技術者の育成が困難な場合には、外部の専門家と連携することも有効な取り組みの一つです。

3.ツールを導入する

画像DXを始めるためには、課題解決に応じたツールを導入する必要があります。これらのツールは業務プロセスの自動化などに役立つ様々な機能が提供されています。その一つとして、MLOpsなどのアプローチがあります。MLOpsは、モデルの訓練、デプロイ、監視などを継続的かつ効率的に行うための包括的なアプローチで、DX全般に不可欠な要素ですが、画像DXにおいても同様です。

以上が、製造業において画像DXを始めるための基本的な取り組みになります。ただし、画像DXにはデータの正確性やアルゴリズムの複雑さなどの困難な問題もあるため、専門家の意見を参考にして対処することが望ましいです。また、画像DXを導入することで劇的な効果が得られる場合もあれば、具体的な成果に時間がかかることもあります。組織全体として長期的な目標を明確にし、慎重かつ着実に取り組んでいくことが重要です。

まとめ

このページでは、製造業における画像DXについて解説してきました。画像DXは、パターン認識技術や画像処理技術などからなるコンピュータビジョンを用いて、画像情報から価値を抽出する技術です。品質管理や自動検査、製造機器の異常検知など、製造業の生産のあらゆる段階で活用が期待されます。実際デジタル技術を導入している企業は、効率化や簡素化を実現し、製品の品質や生産性を向上させています。その一方で高度な知識や複雑なアルゴリズム、データ分析基盤の整備など、難しさも存在します。そのため、実践にあたっては十分な準備が必要です。具体的には、戦略立案、データ分析、システム導入、人材育成、顧客ニーズ把握などに取り組むことが必要です。また、最先端の技術を追求するだけでなく、MLOpsの導入など、システムの維持・運用にも注力することが重要です。

製造業が持つビッグデータの活用には、さらなる可能性を秘めています。
是非、本記事を参考に、画像DXの導入に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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