OpenAI社が2022年にChatGPTをリリースして以来、さまざまな言語生成AIサービスが開発されています。
しかし、言語生成AIと聞いてもピンと来ない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、言語生成AIの特徴やビジネスにおける活用例を紹介します。
目次
言語生成AIとは?
言語生成AIとは、人間が用いる自然言語を解析し、入力したテキストデータの構造や意味などを理解して、新しい文章を生成する技術を指します。
大量のテキストデータから学習することで、人間と同じように複雑な言語パターンを理解し、新たな文章を生成することが可能です。
言語生成AIは英語だけではなく、日本語やフランス語、中国語といった複数言語に対応しています。
そのため、出版業界などの文章作成をメインとする業界だけではなく、多言語対応の必要なソフトウェア開発やアプリ開発など、広範な分野で利用されています。
なお、言語生成AIのなかでも代表的な「ChatGPT」の使い方を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
日本語に特化した言語生成AIも登場
基本的に生成AIの学習には英語データが使われているため、英語の文章で指示したほうが、より期待する結果を得やすいです。
しかし、近年は日本語に特化した言語生成AIも登場しています。日本語は同じ音で異なる言葉が複数存在したり、主語や目的語が省略されたりと、独自の難しさがあります。
この課題を解消するため、以下のように日本語に特化した言語モデルの開発が進められています。
・LINE社とNAVER社が共同開発した基盤モデル「HyperCLOVA」
・rinna社が開発した「日本語GPT言語モデル」
・サイバーエージェント社の広告制作AI「極予測AI」
今後も上記のようなAIが続々と登場すると考えられるため、より効率良くビジネスを運営できるようになる可能性が高いです。
では、言語生成AIはどのように活用されているのか、ビジネスにおける例を見ていきましょう。
ビジネスにおける言語生成AIの活用例
ここでは、ビジネスにおける言語生成AIの活用例を6つ紹介します。
- ニュースやブログ記事の作成
- 商品・サービスのキャッチコピーや説明文の作成
- 議事録や業務マニュアルの作成
- アプリケーションの開発
- 文章の校正
- QAリストの作成
1つずつ見ていきましょう。
例1. ニュースやブログ記事の作成
言語生成AIを活用すると、自社のニュース記事やブログ記事など、定型フォーマットのあるコンテンツを効率良く作成できます。
例えば、株式市場の動向に関するニュース記事の作成などです。毎日の取引終了後、大量の株価データや経済指標をAIに分析してもらいます。
その日の市場の傾向や注目株の動きを、自動的に記事にまとめることで、作成作業を効率化することが可能です。
また、企業の公式ブログで、新商品の紹介記事を作成する際にも言語生成AIが役立ちます。
商品の特徴やスペック、使用方法などを入力データとして、AIが自動的に情報を整理し、読みやすい記事を生成することが可能です。
人間がおこなっていた作業時間を削減しつつ、新商品の情報をスピーディーに顧客に提供できるようになります。
例2. 商品・サービスのキャッチコピーや説明文の作成
商品やサービスの広告キャッチコピーの作成や、商品ページの説明文の作成も、活用例のひとつです。言語生成AIは、インターネット上にある数多くのテキストデータを短時間で収集・分析できるのが強みです。
そのため、これまで人間が思いつかなかった、新たな考え方やアイデアを提示してくれるケースがあります。
具体的には「新商品の発売に向けて、その特徴とターゲット顧客の嗜好に合わせたキャッチコピーを考える」などのシーンで活用できます。
ChatGPT(GPT-4)に次の指示を出したところ、10個のキャッチコピーを提案してくれました。
▼ChatGPT(GPT-4)への指示文
▼ChatGPT(GPT-4)の回答
AIにその商品の特徴や想定する顧客層の情報を与えることで、複数のキャッチコピー候補を生成させることが可能です。
また、AIに商品の特性や顧客の購買履歴、レビューコメントなどの大量のデータを分析させて、商品の説明文を作成する使い方もあります。
テキストを考える手間を削減できるだけではなく、品質の高いテキストを生み出すことで、結果的に商品・サービスの売上アップにつながります。
例3. 議事録や業務マニュアルの作成
言語生成AIを使用して、議事録や業務マニュアルを作成するサービスも多く登場しています。
特に役員会議や顧客との商談、チームの定例会議など、議事録を作成する場面が多い企業にとっては大きなメリットです。
議事録を作成するには、時間や労力がかかります。また、商談中や会議中にメモを取ると話を聞き逃す恐れがあるため、すべての情報を細かく記録することは困難です。
そこでおすすめなのが、議事録作成AIの力を借りることです。AIが会議中の発言を自動でテキスト化し、発言者を識別して記録を作成してくれるサービスもあります。
また、業務の詳細を入力して、マニュアル用の文章を考えてもらう方法も活用例のひとつです。
このように、言語生成AIを活用することで、新人教育や業務の引き継ぎなどをスムーズに実施しやすくなります。
例4. アプリケーションの開発
最近では、アプリケーションの開発でも言語生成AIを利用するようになりました。
例えば、2023年5月にはGoogleが「Duet AI for AppSheet」を発表しています。これはAIと自然言語で対話しながらアプリを開発できるサービスで、プログラミングの知識がないユーザーでもアプリケーション開発が可能です。
また、同月にMicrosoft社も生成AIを搭載した、業務アプリケーション開発のプラットフォームを発表しています。
このシステムを利用することで、開発者はAIの力を利用して効率的にアプリケーション開発を進められます。
このように、開発者たちがより重要なアプリ開発に専念し、質の高いサービスを提供できる環境が生まれつつあります。
例5. 文章の校正
続いての活用例は文章の校正です。言語生成AIが文法や表現の誤りを検出し、適切な修正案を提案してくれます。
人の目だけでは気付きにくい微妙な誤字や、誤解を招く可能性のある表現を修正するのに有効です。文章のクオリティが向上するため、読み手からの信頼も得やすくなります。
具体的には「取引先へのメールを送信する前に、AIで文面をチェックする」といった活用方法があります。
▼ChatGPT(GPT-4)への指示文
▼ChatGPT(GPT-4)の回答
上記のとおり、「閉じ括弧」や「全角・半角」といった細かい点までチェックしてくれるのが特徴です。
ビジネスメールは企業の信用に直結するので、文法や表現の誤りは絶対に避けたいところです。しかし、忙しいビジネスパーソンにとっては、細部まで確認するのは難しいもの。そこで言語生成AIが役立ちます。
例6. QAリストの作成
ビジネスにおける言語生成AIの活用例として、QAリストの作成も挙げられます。
「メールの問い合わせ履歴」や「チャットでのやり取りの履歴」をもとに、よくある質問とその回答のリストを作成することが可能です。
また、生成された文章が走り書きや難解な表現になっている場合、よりわかりやすく簡潔な文章に作り直してもらうこともできます。
しかし、ChatGPTなどでQAリストを作成するときには注意が必要です。
・本来の意味とは異なるニュアンスや表現を使うことがある
・回答が正確であるとは限らないため、人がチェックする必要がある
そのため、人間によるチェック作業は引き続き必要となるでしょう。
もしQAリスト作成の負担を軽減しつつ、精度を高めたいなら、QAリストを自動生成するサービスを利用するのがおすすめです。作業効率と質の両方を向上させることが可能になります。
具体的なサービスは続けて紹介しますので、見ていきましょう。
QAリストを効率的に作成するなら「QAジェネレーター」がおすすめ
QAジェネレーターとは、チャットボットに登録する「問い合わせ文」と「回答文」を、言語生成AIで自動生成するサービスです。
企業によっては、以下のような課題で悩んでいるところもあるのではないでしょうか。
・マニュアルやナレッジが統一されておらず、特定の人材に属人化している
・チャットボットやFAQシステムの導入を検討しているが、QAリストの作成にリソースを割けない
QAジェネレーターなら、対象のドキュメントを解析し、質問文と精度の高い回答文を作成します。
フォーマットがバラバラでも言葉の揺らぎなどを抽出できるため、事前に手作業で統一する必要もありません。
無料トライアルも受け付けていますので、もしリソース不足などでお悩みの場合は、お気軽に資料をダウンロードしてご覧ください。
業務効率化や品質向上を目指すなら、「言語生成AI」の活用がカギ
言語生成AIを活用することで、ブログ記事の作成からアプリケーション開発まで、幅広い領域で業務を効率化できるようになります。
これまで人手で実施していた作業をAIに任せられるため、より重要な仕事にリソースを注力できることがメリットです。
今後、言語生成AIは単なるツールを超え、我々の良きビジネスパートナーとなる可能性も考えられます。
まずは今回紹介した言語生成AIを利用し、業務の一部を任せるところから始めてみてはいかがでしょうか。