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データ活用基盤の基礎知識!得られる効果や構築方法を詳しく解説

データ分析

データ活用基盤とは、さまざまなアプリやツールから収集したデータを、一元管理するシステムです。データの収集から分析までの工程を効率化するには、基盤の用意が欠かせません。

しかし、そもそもどんなことができるのか、どうやって利用すれば良いのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、データ活用基盤を導入する効果や搭載されている機能、構築するまでの進め方について解説します。自社のデータ活用を推進するためにも、ぜひ最後までご一読ください。

なお、「機械学習モデル(入力したデータの内容を評価し、結果を返す仕組み)を作成して、売上や需要を予測したい」という場合、適切なデータ活用基盤の選定や計画が重要です。

弊社TDSEでは、貴社に合わせた環境の選定から構築、運用までを一貫して支援するサービスを提供しています。詳細はこちらの資料で紹介していますので、ぜひお気軽にご覧ください。

データ活用の基盤とは?

データ活用基盤とは、社内外から収集したデータを一ヶ所にまとめて管理するシステムのことです。データの連携・収集、蓄積、加工、可視化、分析などのすべての工程をシステム内でおこなえます。

次の3つは、代表的なクラウドベースの基盤サービスです。

 

■クラウドベースの基盤サービスの例
・Microsoft Azure
・Amazon Web Service (AWS)
・Google Cloud Platform (GCP)


ちなみによく聞くBIツール(データを可視化・分析するツール)は、データ活用基盤の一部です。

これまではExcelやスプレッドシートなどでグラフ化したり、BIツール単体で利用したりする方法で、データ分析が実施されることが一般的でした。

しかし、データ量が少ないうちはExcel管理などでも足りますが、増えてくると次のような問題が発生します。

 

■データ量が増えることで生じる問題
・処理に時間がかかる
・管理が煩雑になる
・人によってデータの加工方法が違うので、作業ミスにつながる

そのため、データ活用基盤を用意し、必要なデータを必要なタイミングで利用できるように管理しておくことが大切です。

そもそもデータ活用とは何か詳しく知りたい方は、こちらの記事をご一読ください。

【事例あり】データ活用とは?目的やビジネスに活かすポイントを解説

では、データ活用基盤を構築すると、どのような効果があるのでしょうか。詳しく説明します。

データ活用基盤を構築することで得られる3つの効果

データ活用基盤を構築することで、下記3つの効果を得られます。

 

  1. 作業を効率化し、分析結果をすばやくビジネスに活かせる
  2. データの品質を一定の保てるため、分析の精度が上がる
  3. データにアクセスしやすくなるため、データ活用を推進しやすい

順番に見ていきましょう。

効果1. 作業を効率化し、分析結果をすばやくビジネスに活かせる

データ活用基盤を導入することで、データの収集から分析まで一貫して実施できるため、作業を効率化することが可能です。

データを活用したいと思ったときにすぐ着手できるので、すばやくビジネスの意思決定に活かせます。

もし基盤がない場合、「グラフやチャートを一から作成するのに時間がかかり、スピーディーに分析できない」といった問題が起きる可能性が高いです。

また、多角的な視点で分析できることも、データ活用基盤のメリットです。

「実店舗の売上データ」と「ECサイトの売上データ」など、社内のさまざまなデータを掛け合わせられます。

効果2. データの品質を一定に保てるため、分析の精度が上がる

データ活用基盤ではデータを一元管理できるため、分析に使うデータの品質を一定に保てます。例えば、データ内の項目の表記揺れを自動的に修正し、統一するなどです。

基盤がない環境の場合、各部署や各チームにデータが散在してしまい、次のような問題が発生しやすいです。

 

■データが散在することで発生する問題の例
・似たようなデータが複数の場所に保存されており、どれが最新データかすぐにわからない
・部署によってデータ形式や表記が異なるため、欠損しやすい
・手作業でデータを加工してミスが発生する

データの収集・加工・蓄積などをシステム化することで、データの欠損や人的ミスを低減できます。

結果的に分析に用いるデータの信頼性が高まり、分析結果の精度がアップします。

効果3. データにアクセスしやすくなるため、データ活用を推進しやすい

3つ目の効果は、誰でもデータにアクセスしやすくなるため、データ活用を推進しやすくなることです。

複雑なデータ分析をおこなうには、専門知識が欠かせません。特に分析やレポーティングなどの工程は、特定の部署や人材に依存しがちです。

すべての従業員がデータを扱えない状態では、全社的なデータ活用が進まないでしょう。一方、データ活用基盤を導入することで、専門知識がなくてもデータにアクセスすることが可能です。

データ加工やレポート作成なども、自動的におこなわれるため手作業の必要がありません。

「分析結果の見方」や「活用の仕方」などの知識は必要になるものの、すべての従業員がデータ分析して、課題解決に役立てられる環境になります。

つまり、情報システム部門などに毎回問い合わせなくても、データを見て理解しやすくなるわけです。その結果、属人化を防いで、社内のデータ活用を推進できる可能性が高まります。

以上のように、データ活用基盤を構築することで、さまざまな効果を得られます。では、実際にどのような機能を利用できるのか、詳しく見ていきましょう。

データ活用基盤にある基本的な4つの機能

データ活用基盤には、基本的に4つの機能を持たせる必要があります。

 

  1. データを収集する
  2. データを加工する
  3. データを保管する
  4. データを分析・可視化する

1つずつ見ていきましょう。

機能1. データを収集する

データ活用基盤には、さまざまなアプリケーションやツールがもつデータを集める機能が必要です。次のようなツールが対象です。

 

■データを収集する対象のツールの例
・Excelファイル
・経理系のツール
・営業部門のSFA(営業支援システム)
・IoT機器

データ活用基盤は、上記のようなアプリケーションやツールと連携し、データを吸い上げます。その後、「データレイク」というデータの格納庫に蓄積するという流れです。

機能2. データを加工する

データ分析の目的に応じてデータを抽出し、分析しやすい形に加工(集計・統合)する機能も必要です。下記のように不完全なデータが混在している場合、分析結果の精度が落ちる可能性があるからです。  

 

■不完全なデータの例
・破損している
・表記揺れがある
・他のデータと重複している

また、「非構造化データ(音声や画像など)」を「構造化データ(行や列のある整形されたデータ)」に変換するのも、この工程です。

不完全なデータを除外し、完全なデータだけを抽出する「データクレンジング」をおこないます。加工したデータは「データウェアハウス」という、データの格納庫に蓄積されます。

機能3. データを保管する

データをまとめて保管して管理できることも、データ活用基盤の機能のひとつです。主に「データレイク」と「データウェアハウス」の2種類があります。

機能 内容
データレイク ツールなどから吸い上げたデータを、もとの状態のまま保管する
データウェアハウス(DWH) 特定の目的のために加工されたデータを保管する

2つの大きな違いは、保管する対象のデータが「加工する前」か「加工した後」かという点です。データレイクには素の状態のデータを保管し、必要に応じて加工してデータ分析に利用します。

もし加工時にデータが破損するなどトラブルが起きた場合も、未加工のデータを残しておけるので安心です。

特定の目的のために加工したデータは、データウェアハウスに保管されます。このデータをもとに、社内の各部門がデータ分析をおこないます。

機能4. データを分析・可視化する

4つ目は、BIツールによりデータを分析・可視化する機能です。そもそも加工されたデータは数値が並んでいるだけなので、そのままでは分析に活かせません。

BIツールを使うことでデータをグラフやチャートで可視化し、人が見てわかりやすい形に整えられます。

例えば、「顧客の属性」と「購入した商品」のデータを分析することで、「ターゲット層はどのような特性の商品を好むのか」がわかります。

新商品の開発に役立てるなど、分析結果をもとに取るべきアクションを考え出しましょう。

続いて、実際に基盤を構築するまでの進め方を、ステップごとに解説します。

データ活用基盤を構築するまでの5ステップ

データ活用基盤を構築する際は、次の流れで進めます。

 

  1. データ活用基盤を導入する目的を明確にする
  2. データ活用の推進チームを立ち上げる
  3. データ活用基盤を設計する
  4. データ活用基盤を構築する
  5. 基盤を運用して改善する

各ステップでどのようなことをおこなうのか、詳しく見ていきましょう。

ステップ1. データ活用基盤を導入する目的を明確にする

まずはデータ活用の目的を明確にした後で、目的に沿って基盤を構築することが重要です。

「データを経営に活かしたい」のようにざっくりした目的だけでは、どのようなデータを収集するべきか、どんな基盤サービスを導入すれば良いか迷ってしまいます。

例えば、「顧客が急に減少した理由を知りたい」など具体的に決めましょう。

そのうえで、社内でデータ活用に困っている事例がないか調査し、データ活用基盤の目的を明確にします。

一例として、「データを集めるときのルールが複雑なため、対応できる人が限られている。だから抽出する条件が多いデータは自動的に処理できるようにしたい」などです。

以上のように目的を固めておくことで、実際に従業員に基盤を利用してもらえる可能性が高まります。

ステップ2. データ活用の推進チームを立ち上げる

次に、データ活用基盤の構築を推進するチームを立ち上げましょう。主に以下のようなメンバーが必要です。

 

■推進チームのメンバーの例
・プロジェクトリーダー
・データの収集や分析を担当する人
・実際にデータを活用する現場の人

メンバーが決まったら、具体的なスケジュールを決めます。

構築に必要なタスクを挙げて担当者を割り振り、誰がいつまでに何をやるかをはっきりさせましょう。

なお、推進チームを立ち上げる際は、経営層を巻き込むことが重要です。現場の従業員だけで推進しても、一過性で終わる可能性があります。

経営層に働きかけて、全社で進められるようにバックアップしてもらいましょう。後々、社内展開もしやすくなります。

ステップ3. データ活用基盤を設計する

次のようなテーマで推進チーム内で話し合い、データ活用基盤を設計しましょう。

 

■基盤を設計する例
・どのようなデータを収集するか(顧客データ、IoTデータ など)
・収集したデータの保管先はどこにするか(組織や部門ごとに管理するか、一括で管理するか など)
・保管したデータを、どのように分析して意思決定に活かすか

各工程で、どのようなツールを利用するかも決めます。例えば、データを分析・可視化する段階なら、「Tableau」や「Looker」といったBIツールがあります。

用途や環境によってどのツールが良いかは異なるので、いくつか比較検証して決めるのがおすすめです。

ステップ4. データ活用基盤を構築する

設計が固まった後は、次のような順番でデータ活用基盤を構築します。

 

■基盤を構築する流れ
  1. 1. 社内の蓄積されたデータを、データレイクに移行する
  2. 2. 対象データがデータレイクに蓄積されるように実装する
  3. 3. 加工したデータをデータウェアハウスに蓄積する
  4. 4. データを可視化するツールを導入する

構築した後は、データ活用基盤が意図したとおりに利用できるか、処理速度に問題はないかなどをテストしましょう。

ステップ5. 基盤を運用して改善する

ここまで完了したら、基盤を運用して定期的に改善しましょう。データ活用基盤は、一度作り上げたらそのままで良いわけではありません。

「アプリを開発したから、データを吸い上げられるようにして欲しい」など、新しい要望が出てくるケースもあるからです。

必要に応じて仕様や機能を改善し、従業員が使いやすい環境に調整する必要があります。また、社内でデータ活用を浸透させるための活動も、運用のひとつです。

 

■社内でデータ活用を浸透させる活動の例
・基盤が想定どおりの働きをしているか効果を測定する
・基盤の利用状況を監視する

他部署の人間も巻き込み、データ活用基盤の普及に協力してもらいましょう。

自社に適したデータ活用基盤を選ぶ3つのポイント

自社に適したデータ活用基盤を選ぶときは、下記3つのポイントを押さえることが大切です。

 

  1. 構築以降の維持・運用・メンテナンスをスムーズにおこなえるか
  2. クラウドかオンプレミスか
  3. 専門知識がなくても操作しやすいか

順番に説明します。

ポイント1. 構築以降の維持・運用・メンテナンスをスムーズにおこなえるか

1つ目のポイントは、構築以降の維持・運用・メンテナンスをスムーズにおこなえるサービスを選ぶことです。データ活用基盤と一口に言っても、実際は複数のサービスを組み合わせることになります。

そのため、組み合わせ次第では、下記のような問題が起きる恐れがあります。

 

■データ活用基盤で問題が起きる例
・ツール同士のデータ連携がうまくいかず、エラーが出ている
・複数のツールをまたがっているため、どの時点でデータが破損したか調べるのに時間がかかる

したがって、データ活用基盤を選ぶときは次の点に注目しましょう。

 

■データ活用基盤を選ぶときのポイント
・それぞれの製品同士の連携を、標準サポートしているサービスか(例:公式サイト上で「AWS対応」と明記している など)
・実績があるか(例:導入事例を確認する、営業担当に聞く など)
・担当者がサポートしてくれるか

例えば、AWSは販売代理店から購入することが多いので、代理店の担当者がサポートしてくれるかどうかは重要なポイントです。

以上のように、構築後の運用やメンテナンスまで考えて、サービスを選定しましょう。

ポイント2. クラウドかオンプレミスか

クラウドかオンプレミスかという点も、データ活用基盤を選ぶポイントです。弊社としては、クラウドサービスの利用をおすすめします。

オンプレミスの場合、システムを導入する場合は規模の見積もり(サイジング)が重要です。

しかし、データ活用基盤は、将来的にどれくらいのデータ量を扱うことになるかわかりません。

基盤を導入した後に、「新しいアプリを開発したから、そのデータも活用したい」のような要望が出てくるケースもあります。

上記のような要望を、導入する前にすべてヒアリングするのは困難です。さらに、収集するデータは将来的にどんどん増えていきます。

そのため、将来的な規模まで見積もらなくてもよいクラウド基盤をおすすめしています。

ポイント3. 専門知識がなくても操作しやすいか

3つ目のポイントは、専門知識がなくても操作しやすいことです。全社的にデータ活用できるようにするには、専門知識がなくても直感的に操作できる画面や仕様であることが重要です。

特定の部署や人材しか使えないと、結局属人化してしまいます。

無料トライアルを用意しているサービスもあるので、まずは使用感を確認してから導入するかどうかを決めましょう。

あわせて、日本語でサポートしてもらえるかもチェックしてください。サービスによってはマニュアルが英語のみの場合もあります。

データ活用基盤を導入し、データの活用を推進させよう

データ活用基盤を導入することで、収集したデータを一定の品質に保てたり、社内の誰でもデータにアクセスしやすくなったりするメリットがあります。

まずは導入の目的を明確にしたうえで設計・構築し、社内の要望にあわせて改善していきましょう。導入する際は、ツール同士の連携が可能なことや、サポートがあることに注目して選ぶのがおすすめです。

なお、「自社に最適なデータ活用基盤を導入したいが、リソースが足りない」などでお悩みの場合、TDSEの「MLOps支援サービス」を検討してみませんか。

機械学習モデルの作成に必要な環境の選定から、実際にビジネスで活用するところまで、一連の流れをサポートさせていただきます。

詳細はこちらの資料で紹介していますので、ぜひお気軽にダウンロードしてご覧ください。

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