「AIを導入すれば自社の課題を解決できる」と認識している人もいるのではないでしょうか。
実際にはAIにも得意分野・苦手分野があり、どのような問題も解決できるわけではありません。また、AI導入後も「ある課題」を抱えて悩んでいる企業が多い傾向にあります。
今回は、AIの得意なこと・苦手なことや、AI導入企業の抱える課題について説明します。
目次
【基本知識】AIが得意なこと・苦手なことは?
まずは、あらためてAIが得意なこと・苦手なことを押さえておきましょう。
AIが得意なこと
AIが得意なことは下記のとおりです。
得意なこと | 詳細 | 例 |
---|---|---|
予測 | 過去のデータ(ユーザーの行動履歴、取引データなど)をもとに未来を予測する | ・商品の受発注予測 ・商品のレコメンド |
画像認識 | AIカメラの映像から、映っているものを認識・判断する | ・自動車の自動運転 ・顔認証システム |
音声認識 | 音声をテキストデータに変換する | ・スマートスピーカー ・会議の議事録作成 |
自然言語処理 | 人間の言葉をコンピュータが理解できる形に処理する | ・機械翻訳(Google翻訳など) ・検索エンジン ・チャットボット |
異常検知 | 通常時のデータを学習し、異常・異常が発生する予兆を検知する | ・製造品の外観不良(傷や汚れ)の検査 ・自動車の制御センター ・会計処理(仕分け、不正検知) |
製造品の外観検査や、医師による判断が難しい異常の発見など、幅広い分野でAIが活用されています。
AIが苦手なこと
一方、現状のAIは下記が苦手な傾向にあります。
苦手なこと | 詳細 | 例 |
---|---|---|
パーソナライズ化 | 個人の状況にあわせて臨機応変に対応を変える | 個人の悩みに適した受け答え |
クリエイティブな作業 | 0から新しいアイデアや物を生み出す | ・作曲 ・小説の執筆 |
人の気持ちを考えた コミュニケーション |
人間の心理を予測し、先回りして行動する | ・カウンセリング ・商談 |
AIは過去のデータを学習させる過程が欠かせないため、0からまったく新しいものを生み出す能力は高くありません。
最近話題のAIによる作曲や創作も、実際の作品データを読み込ませることで実現しています。
このように、さまざまな業界で活用されているAIですが、AI導入企業には共通の課題があることがわかりました。続けて見ていきましょう。
AIを導入した企業における課題とは?
株式会社MM総研が、国内の2,059社に「AI導入の前後で障壁になったこと」についてアンケートを実施したところ、下図のとおりでした。
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出典:株式会社MM総研
1~4位はAI人材・ノウハウの不足や、既存システムとの連携方法など、皆さんもすでにご存知の課題が多いのではないでしょうか。
しかし、1~4位の課題をクリアした後にもっとも問題になるのが、5位の「学習データの収集・品質が不十分」です。
主に下記3つの問題が発生するため、AIに学習させるデータを適切な品質で取集しにくい現状があります。
問題 | 詳細 |
---|---|
技術的な問題 | 既存システムは古い技術で作られたシステム(=レガシーシステム)が多い
→AI用のデータを取得するために、システム開発・改修の必要がある |
セキュリティの問題 | 既存システムのデータを閲覧できる人が限られている
→データ分析する人材が必要なデータを閲覧できないため、権限を付与する必要がある |
データ構造の問題 | 既存システムは、業務効率化を目的に作られていることが多い
→AIが使用できるデータ構造になっていないため、構造を変更する必要がある |
AI導入の効果を高めるには、適切なデータを収集して管理することが重要です。
弊社の経験からしても、AI活用の目的に合ったデータ収集をおろそかにしている場合、うまくいかないケースが多いです。
そこで、ここからは「学習データを漏れなく集める」ために必要な準備について説明します。
学習データを漏れなく集める準備3ステップ
AIに学習させるデータを漏れなく集めるには、下記のステップで準備を進めていきましょう。
- AIの効果を出すために有効なデータを知る
- 現状のデータであるもの・ないものを洗い出して整理する
- 今ないデータを蓄積できる環境を作る
1つずつ紹介します。
ステップ1.AIの効果を出すために有効なデータを知る
まずは、AIを導入してビジネスに効果を出すために、どのようなデータが有効か知るところから始めましょう。AI予測の精度を上げるには、「実現したい目的」に合ったデータを収集する必要があるからです。
例えば、AIで「売上予測」をしたい場合、下記のようなデータが必要になります。
- ・商品ごとの売上高
- ・月ごとや年度ごとの売上高
- ・受注までにかかった日数
- ・サービスの平均契約期間
- ・サービスの継続率、解約率
- ・訪問回数、商談回数
- ・見込み顧客へのアプローチ内容
特に、過去の「販売実績データ」はどの企業にも大体ありますが、「販売するまでの営業活動データ」は保管されていないケースも多いです。
AIで実現したい目的をあらためて振り返り、必要なデータの種類を理解しましょう。
ステップ2.現状のデータであるもの・ないものを洗い出して整理する
目的に応じたデータを理解した後は、現状のデータであるもの・ないものを洗い出して整理します。今ないデータを明確にすることで、過不足なくデータを収集でき、データ分析の精度を高められるからです。
例えば、次のように「すでにあるデータ」と「ないデータ」に分類分けしましょう。
あるデータ | ないデータ |
---|---|
・商品ごとの売上高 ・月ごとや年度ごとの売上高 ・サービスの平均契約期間 |
・受注までにかかった日数 ・訪問回数、商談回数 ・見込み顧客へのアプローチ内容 |
営業データを管理するシステムに、最新データしか残されていない場合、AI予測の精度が落ちてしまいます。
時系列で「どのタイミングで、どのような点が変わったのか」というデータまで収集できれば、より正確なデータ分析が可能です。
ステップ3.今ないデータを蓄積できる環境を作る
次に、「今ないデータ」を蓄積できる環境を整備しましょう。
現状のままでは必要なデータを収集できないので、既存の業務プロセスを変えたり、CRMシステムを開発・改修したりする必要があります。
「売上予測」に足りないデータを蓄積する方法の一例は、下記のとおりです。
- ・営業活動履歴を取得できるシステムを導入する
- ・すでにCRMシステムなどを導入済みの場合、システム改修する
- ・Excelなどで営業活動をデジタル管理する
環境を整備した後は、営業担当者に活動データの入力を徹底してもらい、数値として残していきましょう。
このように、業務プロセスやシステム導入を実施することで、1年後にはデータが蓄積されます。必要なデータが揃っている状態でAIを活用すれば、精度の高い分析ができ、売上向上につながる可能性が高いです。
AI導入を成功させるカギは「必要なデータを集める」こと
これまで説明したとおり、AIをビジネスに活用するには「目的の達成に有効なデータを集める」ことが欠かせません。
しかし、どのようなデータを収集するべきかは、企業によって変わります。そのため、ビジネスの課題を理解した上で、必要なデータ収集・分析できる体制づくりが必要です。
弊社TDSEでは「データ分析・データ利活用サービス」を提供しています。
貴社のビジネス課題を丁寧にヒアリングして、必要なデータを検討・収集し、精度の高いデータ分析を実施することが可能です。
「自社の課題を解決するには、どのようなデータがあれば良いか」などの相談も受け付けておりますので、ぜひ下記から30分の無料相談をご利用ください。
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