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ビッグデータを分析・活用した身近な例9選!得られるメリットも紹介

データ分析

近年は膨大なデータを収集できるようになったため、ビジネスでビッグデータの分析・活用が欠かせない時代といえます。

しかし、ビッグデータの分析・活用をしたくても、自社で活用するイメージが湧かない企業も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ビッグデータの種類や、データ分析・活用をした身近な事例を紹介します。最後まで一読すれば、ビッグデータの活用をイメージしやすくなるので、ぜひ参考にしてください。

なお、「データ分析の流れや手法を知りたい」という方向けに、分析プロセスや手法をまとめた資料をご用意しました。

下記から無料でダウンロードしていただけますので、ぜひお役立てください。

そもそもビッグデータは3種類ある

ビッグデータとは、総務省の資料によると、事業に役立つ知見を導出するためのデータを指します。主に下記3つの種類があります。

 

  1. オープンデータ
  2. 産業データ
  3. パーソナルデータ

上から順番に見ていきましょう。

種類1. オープンデータ

1つ目の種類はオープンデータです。

オープンデータとは、国や地方公共団体が提供する官民データのうち、全国民が無料で入手できるように公開されたデータを指します。

具体的には、下記3つの項目すべてに該当するデータのことです。

 

■オープンデータ
・営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
・機械判読に適したもの
・無償で利用できるもの
    参考:デジタル庁|オープンデータ

    一部の例外を除き、オープンデータは二次利用(加工・編集・再配布など)が可能です。社内に必要なデータを蓄積していない場合は、オープンデータの活用も検討しましょう。

    種類2. 産業データ

    2つ目は産業データです。産業データには「ノウハウをデジタル化したデータ」と「M2Mデータ」があります。

     

    ■産業データの種類
    ・ノウハウをデジタル化したデータ(知のデジタル化):事業者が保有するデータ
    ・M2Mデータ:機械同士が相互に情報をやり取りしたデータ

    M2Mでは機械同士で情報をやり取りするため、IoT機器をとおしてインターネット経由でデータを集めることが可能です。

    例えば、ビルのエレベーターを監視する機械は、稼動状況や昇降回数などをデータとして蓄積しています。上記のようなデータを活用して競争力を発揮し、産業を強化することが期待されています。

    種類3. パーソナルデータ

    3つ目は、パーソナルデータです。パーソナルデータとは、下記のように個人情報を含むデータを指します。

     

    ■パーソナルデータの例
    ・個人の属性情報
    ・移動、購買履歴
    ・ウェアラブル機器(スマートウォッチなど)から収集されたデータ

    パーソナルデータは、最初に個人から企業へ提供されます。

    企業はデータをもとに商品やサービスを開発・改良し、「BtoC」あるいは「BtoBtoC(企業間を経由したビジネスモデル)」の形で個人に提供するという流れです。

    参考:総務省|ビッグデータ利活用元年の到来

    以上のように、ビッグデータと一口に言っても複数の種類があります。目的にあわせてデータを組み合わせることで、新しい価値を創り出せる可能性が高いです。

    ビッグデータを構成する5つの要素

    ビッグデータは下記5つのVで定義されています。

    要素 詳細
    Volume(データ量) Excelで処理ができない、膨大な量のデータであること
    Variety(データの多様性) さまざまなデータを利用し、より緻密な分析ができること
    Velocity(データの頻度・速度) 絶えずデータが生成され、高い頻度でデータベースが更新されること
    Veracity(データの正確性) データ内に含まれる不確実なデータを管理し、正確性の高いデータに近づけること
    Value(データの価値) 企業に対してプラスの影響を与えられること

    もともと3つのVでしたが、近年2つのV「Veracity(データの正確性)」と「Value(データの価値)」が追加されました。

    あらゆるデバイスや場所で生み出されたデータを用いることで、新しい潜在ニーズの発見や、より顧客理解を深めるのに役立ちます。

    今まで収集していたデータだけにこだわらず、目的に応じて多様なデータに目を向けてみましょう。

    【種類別】ビッグデータを分析・活用した5つの身近な例

    ビッグデータを分析、活用した5つの身近な例を紹介します。

     

    1. SNSの広告
    2. オンラインショッピングサイトのレコメンド
    3. リアルタイムな交通情報の提供
    4. 気象データを活用した天気予報精度の向上や販売予測
    5. ウェアラブル端末からの人体を活用した健康管理

    順番に見ていきましょう。

    例1. SNSの広告

    1つ目の事例はSNSの広告です。SNSでは登録時に、年齢や性別、学歴、趣味といった個人情報の登録が求められます。

    そのため、SNS上の行動データ(いいね・シェア・動画再生など)をもとに、ターゲットを絞ってアプローチすることが可能です。

    例えば、30代女性でダイエットに興味がある人に対して、「購入してもらえそうなダイエット食品の広告を表示する」などです。

    SNS広告を活用することで、ターゲットに適した広告を表示できるため、商品の認知度アップにつながります。

    例2.オンラインショッピングサイトのレコメンド

    2つ目の事例は、オンラインショッピングサイトのレコメンドです。

    サイトを見ている人に対して、過去の購入履歴や閲覧履歴、クリック履歴などをもとにおすすめ商品を表示します。

    顧客一人ひとりの嗜好にあわせて、商品を提案することが可能です。レコメンドにビッグデータを活用している一例として、楽天が挙げられます。

    楽天ではデータベースシステムを構築し、会員の属性や利用履歴、ポイント活用状況といったデータを蓄積。

    分析結果をもとに広告を配信することで、クリック率や購買率が数倍にアップしました。

    参考:総務省|(3)ビッグデータの活用事例

    例3. リアルタイムな交通情報の提供

    リアルタイムな交通情報の提供にも、ビッグデータが活用されています。「GPSデータ」や「交通情報のデータ」を収集することで、公共交通機関や人の動きをリアルタイムで把握。

    結果的に渋滞情報や最適なルートを案内できるため、混雑緩和につながっています。例えば、高速道路上の電波ビーコン(情報提供システム)が一例です。

    電波ビーコンは約200箇所に設置されており、自動車のカーナビに次のような情報を24時間365日提供しています。

     

    ■カーナビに提供している情報の例
    ・渋滞
    ・事故
    ・所要時間

    利用者の安全性を向上させたり、二酸化炭素の排出量や大気汚染を軽減させたりすることが期待されています。

    例4. 気象データを活用した天気予報精度の向上や販売予測

    4つ目の事例は、気象データを活用した天気予報精度の向上や販売予測です。

    ウェザーニュースでは、各国の気象データを購入してラインナップを拡充することで、精度の高い天気予報をしています。

    例えば、弁当屋がある町に雨が降り、野球の試合が中止になった場合を考えてみましょう。予想していた数の弁当が納品できず、廃棄が増えてしまう問題があります。

    しかし、天気が事前にわかれば弁当量を調整できるため、廃棄を防げる可能性が高まります。

    このように、肌感ではなくデータに基づいて、在庫の最適化をしていくことが可能です。

    参考:CX Clip|全国のユーザーからの情報を「天気のビッグデータ」化して還元する。生活者とともに価値をつくるウェザーニューズの取り組み|Data for Experience #5

    例5. ウェアラブル端末による人体の健康管理

    ウェアラブル端末(腕や頭などに装着する端末)による健康管理も、ビッグデータを活用した身近な例です。ウェアラブル端末から運動履歴や睡眠のデータを取得することで、持ち主の健康状態を管理できます。

    「ムーヴバンド3(ドコモ・ヘルスケア)」や「ウェルネスリンク(オムロン・ヘルスケア)」といった端末がその一例です。

    また、医療現場では、端末から収集した計測データを診察に利用するケースもあります。

    このように、広告から医療まで幅広い領域でビッグデータが活用されています。続いて、業界別にビッグデータを分析・活用した例を見ていきましょう。

    【業界別】ビッグデータを分析・活用した4つの身近な例

    業界別にビッグデータを分析・活用した、TDSEの4つの身近な事例を紹介します。

     

    1. 【小売・流通業界】クーポン差配の最適化、購買者数が増加
    2. 【製造業】複写機メーカーの消耗品交換予測、物流の効率化
    3. 【建設・社会インフラ業界】在宅・在宅の自動判定を実現
    4. 【保険業界】DM(ダイレクトメール)送付最適化、成約率が向上

    順番に見ていきましょう。

    例1. 【小売・流通業界】クーポン差配を最適化し、購買者数アップ

    1つ目は、クーポンの配布方法を最適化したことで、購買者数が増加した事例です。今まではランダムに決定された額面の割引クーポンを配布していましたが、費用対効果の悪さが課題でした。

    そこで予算内で効果的にクーポンを活用するため、下記の施策を実施しました。

    データ活用の目的 ・適切な顧客に適切な額面のクーポンを配布する
    ・予算内で効果的に購買数を向上させる
    施策 どの顧客にどのようなクーポンを配布すれば購買数を最大化できるかを、AIによって導き出せるようにした
    効果 ・クーポンを効率良く配布する方法がわかった
    ・購買者数が増加した

    結果的にクーポンを効果的に配布でき、購買者数を増加させることに成功しました。具体的な施策や効果などは図にしていますので、ご確認ください。

    例2. 【製造業】複写機メーカーの消耗品の交換を予測

    複写機メーカーで消耗品の交換時期を予測し、物流を効率化した事例もあります。複写機(コピー機)のトナーなど、消耗品を交換するタイミングは、顧客によって異なります。

    定期的に消耗品を配送する従来の方法では、在庫や物流に無駄が発生してしまう問題がありました。そこでAIエンジンを開発し、下記の施策を実施しました。

    データ活用の目的 ・物流コストを削減する
    ・在庫を適正化する
    施策 顧客別に、消耗品の交換時期を予測するAIエンジンを開発した
    効果 ・アフターサービスの質が向上した
    ・消耗品の在庫を削減した
    ・物流を効率化した

    消耗品がなくなる前に補充・交換できるようになったことで、アフターサービスの質の向上につながりました。

    さらに、消耗品を配送するときの単位を調整したため、物流コストを抑えることにも成功しています。具体的な施策や効果などは図にしていますので、ご確認ください。

    例3. 【建設・社会インフラ業界】在宅・不在宅の自動判定を実現

    3つ目は、在宅の自動判定を実現した事例です。住宅やオフィスの電力消費データを活用して、業務効率化やサービス開発に活かせないか考え、下記を実施しました。

    データ活用の目的 ・業務を効率化する
    ・新サービスを開発する
    施策 スマートメーターで取得した電力消費データを利用し、機械学習アルゴリズムで在宅・不在宅を判定できるようにした
    効果 電力データから、在宅・不在宅を自動で判定できるようになった

    結果的に、「在宅確率は○%です」のように予測してくれるAIを開発。見守りサービスや、電力使用量の調整などに活かせるようになりました。

    具体的な施策や効果などは図にしていますので、ご確認ください。

    例4. 【保険業界】DM(ダイレクトメール)送付を最適化し、成約率が向上

    最後に紹介するのは、保険業界でDM(ダイレクトメール)の送付を最適化した事例です。代理店の顧客リストに保険に勧誘するDMを送付しているものの、期待する成約率に達しないという問題がありました。

    あわせてコスト削減につなげるために、下記の施策を実施しました。

    データ活用の目的 ・DM送付を最適化する
    ・成約率を最大化させる
    施策 ・顧客ごとに、次回DM送付時の成約確率を予測した
    ・一定の成約確率を超える顧客をピックアップし、限定的にDMを送付した
    効果 DM送付数を絞りつつ、成約率の向上に成功した

    成約しやすい顧客に絞ってDMを送付したことで、成約率がアップしています。また、全体的なDM送付数を減らし、コスト削減にも成功しました。

    具体的な施策や効果などは図にしていますので、ご確認ください。

    ここまでビッグデータを分析・活用する身近な例を紹介しました。例をもとに自社でデータ活用に取り組むためにも、あらためてデータ活用のメリットを押さえておきましょう。

    ビッグデータを活用する2つのメリット

    ビッグデータを活用することで、下記2つのメリットを得られます。

     

    1. 質の高いサービスを提供でき、顧客満足度の向上につながる
    2. 市場ニーズを把握し、商品やサービスの開発・改良を効率化できる

    順番に見ていきましょう。

    メリット1. 質の高いサービスを提供でき、顧客満足度の向上につながる

    1つ目のメリットは、質の高いサービスを提供でき、顧客満足度の向上につながることです。

    ビッグデータを分析することで、顧客の行動履歴や購買履歴、嗜好などを把握できます。顧客理解を深められるため、最適なサービスを提供しやすくなります。

    また、顧客の不満や要望を開発に取り入れ、より満足度の高いものに改善していくことが可能です。

    例えば、アポイントを取得したい場合を考えてみましょう。音声認識技術を導入して、顧客の会話内容や声のトーン、長さなどのデータを分析します。

    「どのような対応をしたら、アポイント取得率が向上するのか」を導き出せるため、契約率アップや解約抑止といった効果が期待できます。

    このようにサービスの質を上げられれば、競合他社に差をつけて、顧客から選ばれる可能性を高めやすいです。

    メリット2. 市場ニーズを把握し、商品やサービスの開発・改良を効率化できる

    市場ニーズを把握し、商品やサービスの開発・改良を効率化できることも、メリットのひとつです。ビッグデータを分析することで、下記のように市場の傾向やトレンドを素早く把握できます。

     

    ■市場ニーズを把握して開発・改良につなげる例
    ・SNSやWebサイトのアクセスログデータを活用し、新しい商品アイデアを得る
    ・商品の使用状況データを分析し、商品を改良する

    上記を実施している一例として、ユニ・チャームが挙げられます。ユニ・チャームは、紙おむつ等を提供する定額制サービス「手ぶら登園」をスタートしました。

    紙おむつの残り枚数をデータで管理し、保育園の紙おむつの在庫が減少すると、自動で発注される仕組みになっています。

    参考:総務省|ユニ・チャーム、経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定

    以上のように、ビッグデータを活用することで市場の変化にスピーディーに対応できるため、より競争力を上げやすくなります。

    他にもデータを活用することで得られる効果や、ビジネスで上手に活用するポイントを知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

    【事例あり】データ活用とは?目的やビジネスに活かすポイントを解説

    身近なビッグデータの活用例を参考に、データ分析に取り組もう

    本記事では、ビッグデータの種類や身近なビッグデータの活用例、メリットについて紹介しました。

    ビッグデータには複数の種類がありますが、目的に合わせてデータを収集・分析・活用することで、生産性向上や業務改善などが期待できます。

    身近なビッグデータの活用例を参考にして、データ分析に取り組みましょう。

    なお、「どのような流れで分析を進めれば良いのか知りたい」という方向けに、流れや分析手法をまとめた資料をご用意しました。

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