「データ活用に取り組みたいが、自社の業界でどのように使えるのかイメージが湧かない」——これはTDSEがお客様からよくいただくご相談です。「ビッグデータ活用」「データドリブン経営」「DX推進」など呼び方は様々ですが、本質はどれも『現場のデータを意思決定や業務改善につなげること』に集約されます。本記事では、TDSEがこれまで600社を超えるお客様を支援してきた実績の中から、製造・金融・物流・小売・社会インフラの5領域における成功事例を15件厳選し、各事例の課題・データ・分析手法・成果と、自社で取り組む際の進め方までを解説します。
目次
【製造業】データ活用事例 5選

製造業は、TDSEが多くの実績を蓄積している領域の一つです。生産設備の予知保全、画像AIによる検査自動化、品質データ分析、保守部品の管理など、ものづくりの各プロセスでビッグデータ活用が進んでいます。ここでは、TDSEが実際に支援した5つの事例をご紹介します。
製造業は、TDSEが多くの実績を蓄積している領域の一つです。調達・生産計画・製造・品質保証・アフターサービスといった、ものづくりのバリューチェーン全体のあらゆるプロセスにおいて、ビッグデータの活用が広がっています。ここでは、TDSEが実際に支援した5つの事例をご紹介します。
事例1-1:需要予測を用いた発注業務効率化(調達・計画)
商品数が多く需要変動も大きい製造小売業では、発注判断が担当者の経験に依存しやすく、在庫過多や欠品が課題となっていました。TDSEは過去の販売実績や気象データなどを用いた需要予測モデルを構築し、将来需要を定量的に可視化。発注業務における属人性を排除し、精度を向上させることで、余剰在庫や廃棄ロスを抑制し、在庫適正化と業務効率化を同時に実現しました。
出典:需要予測を用いた発注業務効率化|TDSE
事例1-2:生産地計画最適化(生産計画)
複数工場・複数製品を抱える製造業では、「どこで・何を・どれだけ作るか」の計画立案に多大な工数がかかっていました。TDSEは生産コスト、輸送コスト、工場能力といった制約条件を整理し、数理最適化モデルを構築。生産地計画を自動算出することで適切な生産計画を立案することが可能となり、品質・コスト・納期の最適化を実現し、生産計画業務の効率化に貢献しています。
出典:生産地計画最適化|TDSE
事例1-3:生産工程における不具合要因の特定(製造・工程改善)
複雑化する製造工程では、不良が発生したときに「どの工程の、どの条件が原因か」を特定することが難しく、再発防止策の検討に多くの時間を要します。TDSEは生産工程データに対する統計的アプローチで不具合要因を特定する分析モデルを構築し、品質改善のスピードアップに貢献しています。製造現場の暗黙知に依存していた品質管理を、データドリブンな仕組みへと転換した事例です。
出典:生産工程における不具合要因特定|TDSE
事例1-4:検査工程の改善・自動化(品質管理)
工場のスマートファクトリー化を進め、数十パーセント規模のコスト削減を実現したいという経営目標を実現する取り組みの一環として、検査工程の効率化に取り組んだ事例です。電子部品の生産工程において、品質確保のために複数回実施していた機能検査がボトルネックとなり、スループット低下や検査設備への追加投資が課題となっていました。TDSEはロット1回目の機能検査結果や製造工程データを用い、2回目検査の要否をAIで判定する仕組みを構築。品質を担保したまま検査回数を削減し、工程全体のスループットを25〜50%向上させるとともに、数億円規模の設備投資の抑制を可能としました。
出典:検査工程の改善・自動化② |TDSE
事例1-5:保守業務効率化(保守・アフターサービス)
ある製造業のお客様では、自社製品の保守員の部品補充が属人的で、交換時に必要な部品を持ち合わせていないことがあり、同じ顧客への再訪問が頻発していました。TDSEは「保守部品在庫」と「過去の使用実績」の二つを可視化し、保守員自身が在庫を確認・補充できる仕組みと、現場責任者が部下の在庫保有状況に基づきマネジメントを行うフローを設計しました。これにより訪問回数が削減され、保守員の業務効率が向上しています。派手なAIモデルではなく「正しく可視化する」ことが価値を生んだ事例です。
出典:保守業務効率化|TDSE
▼製造業活用事例一覧:製造業向けデータ活用支援
【金融・保険】データ活用事例 4選

金融・保険業におけるデータ活用は、マーケティング効率化にとどまらず、引受査定やリスク管理、不正検知といった事業の根幹を支えるミッションクリティカルな業務の高度化へと広がっています。TDSEは、収益性や健全性、顧客信頼に直結する業務領域において、データを意思決定に結びつける分析・実装を支援してきました。ここでは、金融・保険の業務プロセスに沿って4つの事例をご紹介します。
事例2-1:保険引受査定の高度化に向けた生成AIによる手書き文字OCR検証(引受査定業務)
保険の引受査定では、手書き文字を含む申込書や帳票の内容把握が正確なリスク判断の前提となります。一方で、画像データのままでは他データと結合した分析が難しく、活用が進んでいませんでした。TDSEは生成AIを用いたOCRにより手書き文字を高精度にテキスト化を検証。平均文字誤り率が3%以下 (100文字中2,3文字程度の誤り)であり実用に向け、性能評価を推進中の事例です。
出典:保険引受査定の高度化に向けた生成AIによる手書き文字OCR検証 |TDSE
事例2-2:保険商品の解約率予測(契約維持・収益管理)
保険会社にとって解約は、将来収益に直結する重大な経営リスクです。TDSEは契約情報や顧客属性データをもとに解約率を予測する分析モデルを構築し、解約リスクの高い契約を事前に把握できる仕組みを整えました。離反後対応から予防型対応へと転換することで、契約継続率の向上と収益基盤の安定化に貢献しています。
出典:保険商品の解約率予測|TDSE
事例2-3:信用リスク管理モデルの高度化(リスク管理)
金融機関では、信用リスク管理の精度が経営の健全性を左右します。TDSEは既存モデルの特徴量やデータ設計を見直し、債権動向をより的確に捉える信用リスク管理モデルを再構築しました。あわせてモデル運用プロセスを効率化し、業務負荷を軽減。リスク評価の高度化と安定運用を両立した、金融業務の中核を支える事例です。
出典:信用リスク管理モデルの高度化|TDSE
事例2-4:クレジットカードのフィッシング詐欺検知(不正検知・取引監視)
巧妙化するフィッシング詐欺は、被害拡大や顧客信頼の低下につながる深刻な課題です。TDSEは取引データのパターン分析により、不正の兆候を早期に検知するモデルを構築しました。人手による確認に頼らず、不正を未然に防ぐ体制を整えることで、顧客資産の保護と金融機関の信用維持に貢献しています。
出典:クレジットカードのフィッシング詐欺検知|TDSE
▼金融・保険業活用事例一覧:保険業界向けデータ活用支援
【小売・流通】データ活用事例 3選

小売・流通領域では、需要の見極めから価格設定、配送計画に至るまで、データに基づく意思決定が売上と利益を大きく左右します。商品単位・日次単位で発生するビッグデータを、現場や経営の判断にどこまで落とし込めるかが競争力の分かれ目となります。TDSEは、サプライチェーン全体を見据えた分析と最適化により、小売・物流業務の高度化を支援してきました。
事例3-1:商品需要予測による在庫最適化(発注・在庫管理)
過去の販売実績や季節性、プロモーション情報などを統合し、商品ごとの需要を予測するモデルを構築することで、在庫過多と欠品の双方を抑制できます。TDSEは、店舗・商品・時期といった粒度で需要を可視化し、発注判断に活用できる需要予測モデルを構築。サプライチェーン全体を見据えた在庫最適化により、売上機会損失の削減と在庫効率の改善を支援しています。
出典:商品需要予測による生産・在庫管理|TDSE
事例3-2:ダイナミックプライシングによる利益最大化(価格設定)
小売店では「価格を下げすぎると利益が減り、値下げ幅を小さくしすぎると購買に至らず、廃棄商品が増えてしまう」というジレンマがあります。これまで担当者の経験に依存していた値下げ判断を、TDSEは①各時点での需要予測と②動的計画法を組み合わせたダイナミックプライシングのアルゴリズムで自動化しました。これにより担当者の属人性に依存しない値下げが可能となり利益の最大化、廃棄ロスの削減と現場負担軽減を同時に実現しています。
出典:ダイナミックプライシング|TDSE
事例3-3:配送経路の最適化(配送計画)
物流業界では、ドライバー不足や労働時間規制の強化を背景に、限られた人員と時間で業務を回すための効率的な配送計画が不可欠となっています。TDSEは、複数の配送先や車両制約、時間制約を考慮した配送経路最適化アルゴリズムを構築し、現実的かつ実行可能な配送計画の立案を支援しています。これにより、配送時間や燃料コストの削減に加え、ドライバーの残業時間抑制や業務負荷軽減にも貢献。人手不足という構造課題に対応する、持続可能な物流オペレーションを支える事例です。
出典:数理最適化による配車最適化システム構築|TDSE
▼小売・流通業活用事例一覧:小売・流通業向けデータ活用支援
【社会インフラ】データ活用事例 3選

電力・通信・建設といった社会インフラ領域では、設備の安全な運用と人手不足への対応が喫緊の課題となっています。設備停止や事故は社会全体へ大きな影響を及ぼすため、「止めない・誤らない」運用をいかに持続可能な形で実現するかが重要です。TDSEは、東京電力パワーグリッド株式会社をはじめとする大手インフラ企業に対して、データとAIを活用した実践的な支援を行ってきました。ここでは、社会インフラの現場を支える代表的な3つの事例をご紹介します。
事例4-1:強化学習型AIによる重機の自動制御(設備制御)
建設・採掘現場の重機操業では、生産人口減少に伴う技能継承の困難さと、技術者間の品質ばらつきが深刻な課題となっています。一方で、実際の重機を使った実験は破損や事故のリスクが高く、AI開発に必要なデータの収集自体が難題でした。TDSEは重機センサーデータから重機の動作を再現するシミュレータを機械学習で構築し、その仮想環境上で強化学習による制御AIを開発するというアプローチを採用しました。事例ページでは効果として「熟練者の技能に依存しない品質の安定化や業務効率化を実現する技術的可能性を確認した事例です。
出典:強化学習型AIによる重機の自動制御|TDSE
事例4-2:送電線の異常検知(設備点検)
送電線の劣化や異常を画像データから自動検知する仕組みは、点検作業の効率化と安全性の向上に直結します。TDSEはドローンによる巡視映像と画像認識AIを組み合わせ、送電線の異常を自動検出するモデルを構築。広大な送電網の点検業務を大幅に効率化する取り組みです。
出典:送電線の異常検知|TDSE
事例4-3:空調制御AIによる室内環境の最適化と省電力化(設備管理)
建物内の空調制御をAIで最適化することで、室内環境の快適性と省電力を両立できます。TDSEは空調制御AIを構築し、エネルギーコストの削減とCO2排出量の低減に貢献しています。脱炭素経営が経営課題となる中、データ活用が直接サステナビリティに繋がる代表的なユースケースです。
出典:空調制御AIによる室内環境最適化及び省電力化|TDSE
データ活用で成果を出すための3ステップ

ここまで15の事例を見てきましたが、次に気になるのは「自社で始めるにはどうすればよいか」という点だと思います。TDSEではデータ活用プロジェクトを以下の3ステップで進めることを推奨しています。
Step 1:テーマ選定 — 「何のデータを、何のために使うか」を決める
データ活用が頓挫する最大の原因は、最初のテーマ設定の甘さです。「ビッグデータがあるから何かやろう」ではなく、「経営にインパクトのある課題は何か」「その課題はデータで解けるのか」を明確にすることが、すべての出発点になります。TDSEのアセスメントサービスでは、データ資産の棚卸しから可視化、テーマ抽出までを一気通貫で伴走支援します。
Step 2:PoC(概念実証) — 小さく試して効果を検証する
本格実装の前に、小規模な環境で効果を検証するのがPoC(Proof of Concept)です。ただし「PoCをやって終わり」になっているケースが非常に多いのも現実です。TDSEは『分析やPoCを「やって終わり」にせず、意思決定が変わり改善が回り続ける状態をつくる』ことを最重要視しています。PoCの段階から本番運用を見据えた設計を行うことで、投資対効果のあるデータ活用が実現できます。
Step 3:本番実装・運用 — 実装から運用まで一気通貫
モデル構築の先には、業務システムへの組み込み、運用設計、継続的なモデル改善という長い道のりがあります。TDSEは社員の約8割をデータサイエンティストとエンジニアが占める体制で、PoC結果を「現場で動く」状態まで責任を持って実装します。コンサルタントが提案して終わるのではなく、自社のエンジニアが実装まで担う点が、TDSEの大きな特徴です。
→ データ分析・データ利活用サービス / → データ利活用の実運用
TDSEのデータ活用支援とは

TDSE株式会社は「データに基づいて意思決定を高度化する」をミッションとし、企業の業務や現場に根差したデータ活用を支援してきたデータサイエンスの専門集団です。単なる分析に留まらず、意思決定にどう使われ、業務がどう変わるのかまでを見据えた設計を重視しています。
専門性:社員の約8割をデータサイエンティストとエンジニア。業務データの特性や制約条件を踏まえ、分析結果を実運用につなげる支援を行っています。
実績:製造・流通・金融・社会インフラなど、600社を超える支援実績があります。
実装重視:テーマ検討、選定からPoC、本番運用、内製化までを見据え、分析で終わらせないデータ活用を設計します。
「PoCまでは進んだものの、業務や意思決定に十分に生かしきれていない」「自社にとって本当に効果のあるテーマが何かわからない」と感じている方は、まずは現在地の整理からお気軽にご相談ください。