DX戦略を伴走支援!実データを用い、自社の課題を実践的に解決できるデータアナリストを育成(三井住友海上あいおい生命保険株式会社)
データ分析・データ利活用サービス / DX人材育成サービス- クライアント名
- 三井住友海上あいおい生命保険株式会社
- 業界
- 保険・金融
- 担当部署
- デジタルイノベーション部 DI企画・開発グループ
背景
- ・MS&ADインシュアランスグループは国内損害保険、国内生命保険、海外事業に加え、デジタル・リスク関連サービスを展開。保障性商品を中心に400万件を超える契約件数を有する。 ・三井住友海上あいおい生命保険は中期経営計画(2022-2025)の基本戦略で掲げたDX戦略において「商品競争力向上と社会課題解決に貢献するヘルスケアサービス」、「お客さまの体験価値の向上・業務の変革」の実現に向け、DXインフラ基盤の整備を推進中。
- ・これまで短期集中のデータ分析研修には取り組んできたものの、研修を受けただけでは業務での活用は難しく、価値創出は困難と感じていた。
導入効果
- ・本社5部門からデータアナリスト候補者6名を選出し、育成プログラムを受講。6名全員がデータアナリストとして社内認定される。
- ・6名のデータアナリストがTDSEのデータサイエンティストのサポートを受けながら、5つの実際の業務課題に対する分析テーマを推進。うち、入電数予測においては目標精度に達するAIモデルを開発、試験運用実施中。
- ・2023年度には9名のデータアナリスト育成を進め、9つの分析テーマの推進取り組んでいる。
MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上あいおい生命保険株式会社は、「データ分析人財の育成」、「データ分析プロジェクトの推進」、「データ基盤の整備」を通して、中期経営計画(2022-2025)の基本戦略で掲げたDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に取り組んでいる。TDSEはデータ分析人財の育成、実データを用いたデータ分析の推進を通して、MSA生命のDXの実現を伴走型で支援している。
自社の業務知識に長けた社員のデータサイエンス教育でデータアナリストを育成
―― MSA生命様のこれまでのデータ利活用への取り組みについて教えてください。
MSA生命 兵庫氏:MSA生命は、MS&ADグループが持つ国内最大級の販売ネットワークと顧客基盤を活かし、生命保険市場を開拓しています。そもそも保険業はデータを蓄積し活用する業種ですので、アクチュアリー部門では適正な保険料を設定するためにデータ分析を用いてきました。しかし、中期経営計画で掲げたDXの実現のために、部門や職種に関わらず、データの利活用を全社に広げていく必要性を感じていました。
そこで、デジタルイノベーション部(DI部)を創設し、デジタル人財育成に取り組むこととなりました。
一方で、中期経営計画が始まる前、データ分析のテーマを本社各部から募集する機会がありました。すると本社各部から100以上のテーマが集まってきたのです。
現場は数多くのビジネス課題を抱えており、それをデータ分析で解決したいと考えている社員が大勢いるのだと知り、DI部への期待は大きいと感じました。
デジタルイノベーション部
DI企画・開発グループ
課長代理
兵庫 一範氏
―― DX戦略の実現にあたり、TDSEをパートナーとして選んだ決め手はなんですか?
MSA生命 兵庫氏:データ利活用に取り組むにあたり、様々なベンダーから話を聞きましたが、大手ITベンダーからは“AutoMLを導入すればだれもが簡単にデータ分析ができるようになる。“、”データサイエンティストに任せてくれれば成果を出せる“といった回答をもらいました。
しかし、本社全部門がお客さま体験価値の向上、業務変革に取り組み、DX戦略を実現するためには、ツールの導入でもデータ分析の外部委託でもなく、自社の業務知識に長けた社員自らが、身に付けた業務知識とデータ分析スキルをかけあわせることで自社のビジネス課題の解決と新たな価値創出に取り組むことが重要であると考えました。
そこで、現場のビジネス知識に長けていて、分析課題の抽出・整理・簡単な分析を担当できる人財を「データアナリスト」として認定し、2025年度末迄に、本社各部に最低1名以上のデータアナリストを配置することを目標として人財育成を推進することになりました。
そんな中、グループ会社のあいおいニッセイ同和損害保険株式会社とTDSEの人財育成+分析プロジェクトの話を耳にし、TDSEにも話を聞いてみることになりました。
データアナリスト育成とデータ分析テーマの推進を“伴走型”で支援してもらえることが決め手となり、TDSEとのプロジェクトが始まりました。
【人財育成】
汎用的な基礎知識+架空シナリオでの分析実践でスキルを定着
データサイエンティスト
マネージャー
伊藤 晶氏
―― MSA生命様で実践された研修プログラムとはどのようなものですか?
TDSE 伊藤氏:データアナリスト研修は、TDSEが提供する人財育成プログラムを、MSA生命様のデータアナリスト育成のためにカスタマイズしたものです。自身の業務テーマの分析とは別に、汎用的な分析手法を身に付けるために、AIや統計の基礎知識の獲得を目的としたeラーニング(外部コンテンツを利用)、架空のシナリオを用いたデータ分析を実際に行うなど、非常に実践的な育成プログラムです。進め方としては、まずはeラーニングで知識獲得を行っていただき、その後、架空シナリオを用いたデータ分析の研修を実施しました。
架空のシナリオを用いたデータ分析は、データ分析の課題整理から報告まで行う実践的な研修となります。架空のシナリオを元に、①ビジネス課題からビジネスのゴールに向かうよう問題を組み立て、②どのように分析を行うかを設計し、③実際に分析を実践・考察して報告まで実施頂きました。
この研修を受けて頂く事で、座学にて汎用的なデータ分析の進め方や重要な観点をキャッチアップし、ワークでは実際に手を動かすことで学んだことを定着させ、さらに自身のスキルレベルの確認や課題点を整理していただけると考えています。また、グループワークで実施するため、参加者の方のチームワーク向上やナレッジ共有を促進できる内容となっています。
―― データアナリスト研修を受講していかがでしたか?
MSA生命 遠藤氏:私は、データアナリスト育成研修の初年度(2022年度)に参加しました。データアナリスト育成研修を受講し、分析を実施する前の課題の整理、問題の組み立て、データのとり方、分析結果をどのように業務に活かすのかを考えることが非常に大切だということが重要な学びとしてありました。特に、分析を実施する前の課題整理や問題の組み立てを失敗してしまうと、その後の分析も意味をなさないものになってしまう事が大きな学びとなりました。
また、研修を始める前に現在の自分のスキルを専門家に詳細にチェックしてもらえたことで、自分には何が不足しているのか、これからどのような勉強を行えばいいのか、データアナリストとしての「現在位置」が、客観的に理解できたことが良かったと感じました。
新契約部 新契約業務グループ 副長/
デジタルイノベーション部(2022年度 データアナリスト認定)
遠藤 虹慧氏
TDSE 伊藤氏:プログラムに参加した社員の方々は、部署やこれまでの業務内容や取得した資格などによって、データ分析に関するスキルレベルが様々でした。
そのため、現状把握と整理としてTDSEがMSA生命様向けに作成したスキルチェックを用いて、アナリストの皆様のスキルレベルと課題を明確化しました。
スキルチェックを行う事で、遠藤さんは既にデータ分析に関する研修を受講済みで、データ加工までできるスキルがあること、業務でも分析を実施されており、業務知識も豊富でデータアナリストとしての素養を既にお持ちであることが分かりましたが、一部のアナリストのスキルの補強やキャッチアップが必要だと判明しました。この課題部分を研修によって改善することを目指して頂きました。
―― 今後の展望を教えてください。
MSA生命 遠藤氏: 新契約部は保険の査定を行う部門です。昨今のデジタル化の潮流により、新しい申込経路も増え、引き受け業務は複雑化しています。
適正な引き受けをするためにデータを活用していきますが、今後は、保険証券が契約者に送付されるまでのリードタイムの改善や、医療の進歩によって完治する病気をタイムリーに査定に反映するなど、新たなテーマにも挑戦していきたいと考えています。
TDSE 伊藤氏: 今年度(2023年度)以降は、過去の受講者のレビューを参考にしながら研修を組み立てています。研修の中での不安感や課題感を軽減しながら、“実業務でデータ利活用ができる“まで、データアナリスト候補の皆さんに寄り添い、導いていきたいと考えています。
【分析テーマの推進】
実際の課題を用いたデータ分析!試験運用が可能なレベルの精度に達する
―― 分析テーマとその取り組みの成果について教えてください。
MSA生命 藤井氏: 私は、お客さまコンタクトセンター部コンタクト企画グループでシステム関連の業務を担当し、2022年度のデータアナリスト候補として、このプロジェクトに参加しました。
元々システム関連の業務を担当していたこともあり、機械学習やAI分野への興味も持っていました。
これまでのシステム開発案件は、外部のベンダーに要件定義を提示して開発いただくウォータフォール型が主流でしたが、TDSEとはデータをどのように活用していくかをひとつひとつ一緒に考えながら機械学習モデルの構築などを進めていきました。
私が取り組んだ分析テーマはコンタクトセンターへの入電数予測です。予測ができればコンタクトセンターのスタッフの人員配置を効率化することができます。呼損(スタッフが対応する前に顧客側が切電してしまうこと)を抑止し顧客満足度の向上、コスト削減など様々なビジネス効果が生まれます。
これまでの入電予測では掛け直し(呼損を抑止出来れば掛け直しは発生しない)の数を含んで分析しており、これが予測結果を大きく外す要因となっていました。今回、掛け直しの数を除外して分析することで、実際に試験運用ができるレベルの精度を実現することができました。
このように、実業務のデータを用いた分析に取り組むことで、実際にデータをどう活用するのか、課題の解決方法やアイデアを具体的にイメージすることができて良かったです。
お客さまコンタクトセンター部 コンタクト企画グループ 課長代理/
デジタルイノベーション部(2022年度 データアナリスト認定)
藤井 大樹氏
データサイエンティスト
シニアマネージャー
遠藤 理樹氏
TDSE 遠藤氏: 初年度は、TDSEのデータサイエンティスト1名、分析テーマの推進を統括するリーダーの私と、藤井様を含むMSA生命様のデータアナリスト6名で、それぞれ実務に即した5テーマのデータ分析を行いました。分析に用いるデータについては、藤井様にご準備いただき、個人情報保護のための暗号化加工を実施していただきました。
TDSEはデータ分析に関しては“プロ”ですが、実業務における深いビジネス知識はありません。藤井様はコンタクトセンター業務及び自社のシステム関連業務に精通されており、お互いがお互いの専門性を持ち寄り、ともに課題解決に向けたデータ分析に取り組みました。入電数予測モデルとしてはビジネス展開可能な予測精度を達成し、試験運用のための準備に取り組んでおります。
―― 今後の展望を教えてください。
MSA生命 藤井氏:今後のデータの利活用や開発案件のために、どこにどんなデータがあるのかを把握して、全社的に一元管理していく必要があることも実感しました。また、データを収集する・不足するデータがあれば加工や結合して作る、そこからデータを活用するという一連の流れは、とても良い経験になりました。 今後、部門横断でのデータの取得、活用を実践していくために、データ基盤の整備にも取り組んでいきます。
TDSE 遠藤氏:保険業界は様々なデータが蓄積されており、そのデータを活用して様々なテーマに取り組むことができる面白い業界です。部署単位で持っているデータを紐づけながら部門横断で多角的な分析を行い、保険業界における多様なテーマに取り組んでいきたいと考えております。
データ利活用に対する肯定的な空気の醸成。2025年度、本社各部へのデータアナリスト配置に向けて。
MSA生命 小比賀氏: ビジネス課題をデータ分析のタスクに変換し、分析結果を元に施策を立案し、ビジネスの効果を生み出す。これがデータアナリストの役目です。
TDSEには、「育成だけ」「分析だけ」ではなく、DXの実現に向けた課題解決に寄り添い、一気通貫でご支援いただけたことが良かったと感じています。
2022年度にはデータアナリストが取り組んだテーマと成果を経営陣へ報告する機会を設けました。経営陣からもデータ利活用に対する理解が得られ、初年度の取り組みを通して、社内でのデータ利活用に対する肯定的な空気の醸成ができていると感じています。
中期経営計画の2年目となる2023年度には、9名のデータアナリスト候補を選出し、育成研修と分析プロジェクトを実施、中期経営計画最終年度に当たる2025年度には、本社各部に最低1名以上のデータアナリスト配置を目標としています。
今後も実データを用いたデータ分析+育成研修で、自社のビジネス課題を自ら解決できるデータ分析人財の育成に取り組んでいきます。
デジタルイノベーション部
DI企画・開発グループ
グループ長
小比賀 亮介氏
TDSEのサービスをご導入いただいた企業様の事例を一括ダウンロードすることができます。是非ご覧ください。
TDSEが提供する「DX人材育成サービス」とは?
「自社に合ったスキル取得計画の策定」と「実分析支援」が特長
[デジタル人材育成] 基本的な進め方
当社プログラムのポイントは、研修のみに依存しない
「自社にあったスキル取得計画の策定」と「実分析支援」にあります
TDSEが提供する「DX人材育成サービス」は、各社様のニーズに合わせて、実テーマの課題解決プログラムを立案してまいります。
弊社コンサルタントとデータサイエンティストが、各社のご担当者様と協力して実テーマの課題解決を行い、一連のプロジェクトを合同で行うことでOJT(On-the-Job Training)として業務効率を最大化させます。
[デジタル人材育成] 研修体系
当社の育成の特徴は、データサイエンティストを社内で育成してきたノウハウとコンテンツを元に作成されたプログラム及びコンテンツであること。また、スキルを身に着けたデータサイエンス人材が実事業での実践の場において、弊社データサイエンス人材が伴走を行うことで実事業でのプロジェクトの成功をコミットメント可能であるということです。
自社データサイエンティストを社内育成してきたノウハウとコンテンツを元にプログラムを作成。即戦力となるデジタル人材育成・データサイエンス人材育成をお手伝いします。